東京大学は、直径1nmという極めて細い二硫化モリブデン(MoS2)の半導体ナノチューブを合成することに成功した。GAA型トランジスタのチャネル材料として期待される。
東京大学大学院新領域創成科学研究科の中西勇介准教授らによる研究チームは2026年6月、直径1nmという極めて細い二硫化モリブデン(MoS2)の半導体ナノチューブを合成することに成功したと発表した。GAA型トランジスタのチャネル材料として期待される。
半導体トランジスタの微細化が進む。こうした中でナノメートルサイズの極細半導体がチャネル材料として注目されている。候補の1つが遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)と呼ばれる層状半導体だ。半導体TMDが円筒状になったナノチューブは、GAA構造に適した材料といわれている。ただ、従来のTMDナノチューブは、大きなひずみにより直径が10nm以上の多層構造となる可能性が高く、構造制御が難しかった。
そこで今回は、窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)の内部空間を反応場として活用する新たな合成法を開発した。BNNT内部に硫化モリブデンの前駆体を導入し、高温で熱処理した。これにより、直径が数ナノメートル以下という極細MoS2ナノチューブを形成することに成功した。しかも、構造が整ったMoS2ナノチューブを高い収率で合成することが可能だという。
合成した半導体ナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察した。これにより、BNNT内部に直径2nm以下の単層ナノチューブが数多く形成されているのを確認した。中には直径1nmの単層ナノチューブも見られた。
統計解析によって、直径が細くなるほどアームチェアと呼ばれる特定の原子配列が選択的に形成されることも分かった。さらに、BNNT内に隔離された単一ナノチューブの光学特性を測定したところ、直径が小さくなるほどバンドギャップが小さくなる傾向を、実験によって実証できたという。
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