東京科学大学は、6G(第6世代移動通信)に向け150GHz帯MIMO通信を可能にするフェーズドアレイ無線機ICを開発した。このICを搭載したアンテナ一体型の超小型無線機モジュールを試作し、実証実験で144Gビット/秒という超高速通信を達成した。
東京科学大学工学院電気電子系の山崎雄大特任助教と岡田健一教授らによる研究チームは2026年7月、6G(第6世代移動通信)に向け150GHz帯MIMO通信を可能にするフェーズドアレイ無線機ICを開発したと発表した。このICを搭載したアンテナ一体型の超小型無線機モジュールを試作し、実証実験で144Gビット/秒という超高速通信を達成した。
2030年代の実用化を目指し、6Gの研究開発が進められている。6Gでは超高精細映像伝送などに対応するため、100Gビット/秒を超える高速/大容量無線通信を実現していく。これを可能にする技術として、サブテラヘルツ波による2偏波MIMO無線通信が注目されている。実用化に向けては、送受信回路の面積を従来の半分以下に抑える必要があるなど、課題もあった。
研究チームは今回、150GHz帯送受信回路の経路を共有化するなどして、2偏波MIMOフェーズドアレイ送受信回路を1チップに集積した。この無線機ICには、垂直と水平の2偏波に対応した送受信素子を各4素子、合計8素子を搭載している。素子当たりの消費電力は送信時が124mW、受信時が90mW。ICチップはCMOSプロセスで製造され、3×4mmというサイズだ。
高密度集積を実現するため、送信と受信の信号経路を部分的に共有化している。送受信の切り替えを行うスイッチ素子の一部を省略し、アンテナ直前の信号経路を送受信で共有する独自技術を採用した。これにより、経路切り替え時の信号損失を抑えつつ、回路構成に必要な面積を大幅に削減。狭いアンテナピッチの中に、2偏波分の送受信回路を実装することが可能となった。
フェーズドアレイ無線機ICでは、中間周波数(IF)増幅器が必要となる。従来のIF増幅器は、広帯域化によって回路面積が増える、という課題があった。今回は独自の回路構成にしたことで、これまでの半分以下という面積で、20GHz以上の広帯域動作を可能にした。
研究チームは、開発した無線機ICを2個搭載した2偏波MIMO通信対応のアンテナ一体型無線機モジュールを開発した。外形寸法は20×8.2mmである。垂直偏波用アンテナと水平偏波用アンテナを、8素子ずつ内蔵している。EIRP(等価等方放射電力)は垂直偏波で27.8dBm、水平偏波で26.3dBmを達成。電波を±45°の範囲で電子的に制御するビームステアリング動作も確認した。
試作したモジュールを搭載した評価用基板を用いて通信実証実験を行い、最大3mの距離でMIMO通信に成功した。しかも、2偏波MIMOにより、最大144Gビット/秒のデータ伝送速度を実現した。実証実験では、最大50mの遠距離通信が可能なことも確認している。
分子ゆらぎを制御したポリイミド絶縁材料を開発、東京科学大
次世代チップ積層に関する3つの基盤技術を開発
先端ロジック半導体のゲート絶縁膜を極限まで薄膜化、LSTC
光で情報を書き換えられる磁気メモリ材料を開発
量子コンピュータ開発で天然シリコンが利用可能に、東京科学大
光らない結晶を、効率よく光る結晶材料に変える半導体材料Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング