独自のデジタルツインを実現できた理由として、野口氏は「イメージング・インフォマティクスラボ」の存在を挙げる。イメージング・インフォマティクスラボはAIやビッグデータ、DXの進展を見据えて、富士フイルムが2016年に設立した全社横断組織で、先端技術の研究開発から現地現物による課題解決までトータルに行う。
2025年初頭ごろから同ラボと連携のもと開発をはじめ、イメージングからビジネスイノベーション、メディカル、エレクトロニクスまで、富士フイルムが多様な領域で培った技術や知見をつなぎ合わせることで、完成に至ったという。
デジタルツインの運用は2025年夏ごろから開始していて、すでに同技術の活用によって開発期間を従来の半分以下に短縮し、発売した製品もある。CMPスラリーの2030年度の売り上げ目標として、2024年度の2倍以上を達成することを掲げていたが、デジタルツインを活用することで2028年度には達成できる見込みだとする。富士フイルムが成長ドライバーとする後工程向け材料でも、デジタルツインの活用を進める。
「デジタルツインは従来の手法では出なかったであろうアイデアを発想し、具現化できる新しい技術だが、課題解決のための顧客とのコミュニケーションや、本質を理解して問いを立てるところは人間の領域だ。半導体業界には多種多様な課題があり、日々複雑化している。デジタルツインの導入で研究員を減らすのではなく、さらなる課題解決に充てることでビジネスを拡大し、2030年度の売上5000億円を確実に達成する」(野口氏)
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