岡山大学と北海道大学および中国北京大学の共同研究グループは、特殊な2次元材料を用い、1つのナノ構造の中で光を「集める」機能と「ためる」機能を共存させることに成功した。しかも、光の偏光方向を変えるだけで、これら2つの機能を切り替えられることを実証した。
岡山大学と北海道大学および中国北京大学の共同研究グループは2026年7月、特殊な2次元材料を用い、1つのナノ構造の中で光を「集める」機能と「ためる」機能を共存させることに成功したと発表した。しかも、光の偏光方向を変えるだけで、これら2つの機能を切り替えられることを実証した。
光を「集める」機能と「ためる」機能は性質が大きく異なる。このため、これを実現するためには、金属材料と非金属材料を組み合わせるなど複雑な構造にする必要があった。しかも2つの機能が混ざり合うため、それぞれの機能を個別に制御しにくいという課題があった。
研究グループは今回、モリブデンや酸素、塩素からなる2次元材料「ジクロロオキソモリブデン(IV)(MoOCl2)」に着目した。結晶の向きによって、金属のように振る舞う方向と、ガラスや半導体のように振る舞う方向を持つ材料である。
実験では、MoOCl2を円盤状のナノ構造に加工し、金薄膜の上に配置した。この金薄膜が反射膜として機能する。これにより、MoOCl2ナノ構造の中で特定波長の光を効率よくためることが可能となり、光を「集める」ことと「ためる」という2つの機能を同時に実現した。
しかも、光を強く集める共鳴と、特定波長の光を効率よくためる共鳴は混じり合わず、光の振動方向(偏光方向)を変えるだけで、光の働きを切り替えられるという。また、ナノ構造の大きさや形を調整し、2つの共鳴を同じ波長領域に重ねることにも成功したという。
光電子顕微鏡を用いた測定では、光が強く集まる場所に違いがあることも分かった。光を強く集める共鳴では、ナノ構造の上部に光が集中した。一方、光をためる共鳴では、MoOCl2と金薄膜の界面付近に光が集中した。これにより、光の集まり方だけでなく、光が働く場所も切り替えられることが分かった。
研究グループは今回の研究成果について、高感度光センサーや超小型光スイッチ、光情報処理デバイスなどへの応用に期待している。
今回の研究成果は、岡山大学学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所)の三澤弘明教授(特任)、北海道大学電子科学研究所のYaolong Li博士研究員、松尾保孝教授、総合イノベーション創発機構の石旭准教授、中国北京大学のQihuang Gong教授らによるものである。
「世界初」半金属で高い熱電性能を示す物質の電子構造を観測
有機半導体によるUHF帯整流ダイオードを開発、東大ら
ウエハー内部のPN接合を非破壊/非接触で評価
半導体材料で新たな光機能性を解明、北海道大
「Rapidusの隣」に光電融合パッケージ開発拠点、28年度の完成目指す
「超酸」中で発光し続ける蛍光色素を開発、北海道大Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング