今回のJVは、ソニーが進めるイメージセンサー事業の「ファブライト化」に向けた第一歩という位置付けだ。ソニーGのCEOである十時裕樹氏は2026年5月の業績説明会において「設備投資負担を抑えながら収益性を上げていくには、いろいろな工夫が必要だ」と説明し、TSMCとのJVについて「ファブライト戦略のファーストステップ」と説明していた。
ソニーはこれまで、イメージセンサーの研究開発から製造までを一貫して手掛ける垂直統合型の事業モデルを採用してきた。イメージセンサー製造では、ロジック側は外部ファウンドリーであるTSMCを活用する一方、画素側は一貫して自社で製造している。
十時氏は2026年5月、「将来的には製造を当社だけでなく、パートナーとともに進める可能性も深耕していきたい」と説明。画素側についても「画素部分は、開発力といわゆるプロセス技術に分かれる。世界最高水準の半導体プロセス技術を持つ会社と組むことは、当社にとって大きな進化になる」などと強調していた。
ソニーは、TSMCとの協業によって次世代イメージセンサーの高密度化など技術競争力を高めるとともに、将来的な需要拡大への対応力も強化する考えだ。
陶氏は2026年7月の決算説明会において「世界最高水準の半導体プロセス技術を持つTSMCとの提携を通じて、高密度化など将来のイメージセンサーの技術競争力をさらに高める」と説明。モバイル向けに加え、フィジカルAI領域などでの需要増を取り込み、イメージセンサー市場におけるポジションをさらに強固にする考えを示した。
十時氏も同年5月「これまでイメージセンサーの供給は当社ファブの供給能力に限定されていたが、今後はモバイル向けに加え、フィジカルAIによってセンサー需要が大きく拡大する可能性がある」などと述べ、JVによって供給能力の拡張性を高める狙いを説明していた。
また、TSMC側も今回の提携に期待を示している。TSMC日本法人TSMCジャパンの社長である小野寺誠氏は、2026年8月に公開したEE Times Japanのインタビューで、日本企業との連携について、先端技術や次世代技術の開発から量産まで、日本の材料/装置メーカーが重要な役割を担っていると強調。その中で、ソニーとの戦略的パートナーシップにも言及し「両社の強みを組み合わせて、次世代イメージセンサー分野における技術と事業のさらなる進化を目指す」と語っていた。
なお、新会社の設立および取引完了には、関係当局の許認可取得を含む一般的なクロージング条件を満たす必要があるとしている。
ソニー半導体は1Q過去最高益、スマホ市況停滞も主要顧客ら拡大
ソニーセミコンCTOに聞く――イメージセンサー技術革新の核
「画素の製造もパートナーと」十時氏が語る、ソニー×TSMC合弁の狙いと期待
経産省がソニー画像センサー新工場に最大600億円補助
センサーで微細プロセス、ロジックも12nm導入へ ソニーのイメージセンサー戦略
ソニーセミコンとTSMCが合弁会社設立を検討Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング