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Infineon初のRISC-V車載マイコン、その実力と開発戦略を聞いた:2027年上半期にサンプル出荷へ(1/3 ページ)

Infineon Technologies(以下、Infineon)が、同社初となるRISC-V採用車載マイコンを開発し、2027年上半期にサンプル出荷する。EE Times Japanは、同社で車載MCU事業を統括するThomas Boehm氏にインタビューを実施。その開発背景や技術的な特徴、今後の製品戦略などを聞いた。

» 2026年11月04日 19時06分 公開
[永山準,EE Times Japan]

車載MCU事業統括に独占インタビューを実施

 Infineon Technologies(以下、Infineon)は2026年11月4日(ドイツ時間)、RISC-Vアーキテクチャを採用した新しい車載マイクロコントローラー(MCU)プラットフォーム「AURIX RC1」を発表した。Infineonが車載MCUにRISC-Vを採用するのは初めてで、ソフトウェア定義車両(SDV)に加えフィジカルAIなどでの採用も狙う。2027年上半期にサンプル提供を開始する予定だ。

 EE Times Japanは今回、Infineonで車載MCU事業を統括する、Senior Vice President & General Manager Microcontroller AutomotiveのThomas Boehm氏にインタビューを実施。新プラットフォームの開発背景やRISC-V採用の理由、技術的な特徴、今後の製品展開などを聞いた。

AURIX RC1 AURIX RC1[クリックで拡大] 出所:Infineon Technologies

「AURIXとTRAVEOの強みを統合」

 Infineonは2025年3月、RISC-Vを採用した新たな車載MCUファミリーを投入する方針を発表していた。今回、その新ファミリーの名称を「AURIX RC1」として、具体的なアーキテクチャや技術的特徴、製品展開のロードマップを明らかにした。

 Infineonはこれまで、リアルタイム制御や機能安全、サイバーセキュリティに強みを持つ車載MCU「AURIX」や、ボディー制御、通信、ディスプレイ用途向けの「TRAVEO」などを展開してきた。今回のAURIX RC1は、AURIXと第2世代TRAVEO「TRAVEO T2G」の強みを組み合わせた、次世代のMCUプラットフォームと位置付けている。

 背景にあるのは、SDVの普及に伴う車載電子アーキテクチャの変化だ。従来、多数の電子制御ユニット(ECU)に分散していた機能を、中央コンピュータやゾーンコントローラーに集約する動きが進んでいる。これに伴い、MCUには従来のリアルタイム制御に加え、より高い演算性能や通信性能、柔軟なソフトウェア対応が求められるようになっている。

 AURIX RC1は、ゾーン制御やボディー制御、シャシー制御、バッテリー管理、パワートレイン、先進運転支援システム(ADAS)の安全管理、コックピットなど、幅広い用途を対象とする。用途ごとに個別のMCUプラットフォームを開発するのではなく、共通のアーキテクチャを基盤として、演算性能や機能を拡張できるようにする。

 Boehm氏によると、AURIX RC1の開発では4つの方向性を重視した。オープンなハードウェア/ソフトウェアアーキテクチャへの移行、演算処理能力とAI機能の強化、自動車以外の用途への展開、そしてフィジカルAIへの対応だ。

 Boehm氏は「AURIXにはリアルタイム制御や機能安全、セキュリティのアーキテクチャがある。一方、TRAVEOには電力管理、特に電力モードの制御に関する強みがある」と説明。例えばEVでは、充電中や待機中にも一部の電子機能を動作させる必要がある。将来的には、車両が音声を認識してドアを解錠するなど、待機状態で処理しなければならない機能が増える可能性もある。

 AURIX RC1は、こうした電力管理機能とリアルタイム処理、機能安全、セキュリティを組み合わせるもので、Boehm氏は「つまり、CPUコアを単に置き換えるという話ではない。製品ファミリー全体を抜本的に見直すものだ。より高度な演算と制御に対応し、自動車だけでなくロボティクスなどの用途にも対象を広げ、さらにエッジでのAI演算やAI機能を強化する」と強調していた。

 Infineonは、RISC-Vのモジュール性を生かし、用途に応じて演算性能や電力管理機能を最適化した製品群を展開する方針だ。共通のアーキテクチャを採用することで、異なる用途間でもソフトウェアや開発ツール、技術資産を再利用しやすくする。

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