「RISC-Vはソフトウェア定義車(SDV)実現の鍵だ」――。Infineonはドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2025」において、数年以内のローンチに向け開発を進めるRISC-Vベース車載マイコンによる狙いや計画について紹介した。
「RISC-Vはソフトウェア定義車(SDV)実現の鍵だ」――。Infineon Technologies(以下、Infineon)は、ドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2025」(2025年3月11〜13日)に出展。数年以内のローンチに向け開発を進めるRISC-Vベース車載マイコンによる狙いや計画について紹介した。
Infineonは、車載マイコンとして独自コア「TriCore」を採用する「AURIX TCファミリー」や、Armコアを採用する「TRAVEOファミリー」および「PSOCファミリー」を展開。2023年には車載マイコン市場においてシェア28.5%を獲得しルネサス エレクトロニクスを上回り初の首位となったほか、2024年にはさらにシェアを32.0%に拡大し首位を維持したと発表(いずれもTechInsightsの調査ベース)するなど、市場での優位性を高めている。
そして今後を見据えたさらなる一手として2025年3月、競合に先駆け、RISC-Vベースの新しい車載マイコンファミリーを今後数年以内にローンチすると発表。同社のオートモーティブ事業部プレジデントであるPeter Schiefer氏は「Infineonは、RISC-Vを自動車業界のオープンスタンダードにすることにコミットしている。SDVの時代には、リアルタイム性能、安全でセキュアなコンピューティングだけでなく、柔軟性、拡張性、ソフトウェアのポータビリティが今以上に重要になる。RISC-Vベースのマイコンは、このような複合的な要件に対応し、車両の複雑性を低減すると同時に、市場投入までの時間の短縮に貢献する」とコメントしていた。
今回、embedded world 2025のブースでは、同社のRISC-Vマイコン開発に関する詳細や、マイコンのハードウェアが利用可能になる前でもRISC-Vアーキテクチャ向けのソフトウェアおよびツール製品の開発が可能となる仮想プロトタイプなどについて紹介していた。
Infineonは、マイコンのコアアーキテクチャが時とともに進化を遂げてきたとし、RISC-Vが「新たなE/E(電気/電子)アーキテクチャの要件に対応するための最適な出発点だ」と説明。そのうえで、現在の車載マイコンでは、プロセッサアーキテクチャはコントロール、プロセッシング、GPU、AIといったユースケースに向けてそれぞれ最適化されてきたが、SDVでは、例えばリアルタイム制御とデータ処理およびネットワーキング、AIなど、各種処理を組み合わせたものを提供する必要があるとし、説明担当者は「RISC-Vは、このような要件に対応するための柔軟性を備えている」と語っていた。
Infineonはさらに、「RISC-VがSDV実現の鍵だ」と強調。RISC-V命令セットアーキテクチャの柔軟性の他、オープンスタンダードのため同じトピックに取り組む他者との協力によってバリューチェーンに沿った最適なソリューション強化が可能なこと、将来の拡張により特定のワークロードに対するさらなる最適化が可能といった点を挙げている。
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