従来の商用周波数変圧器(LFT)は大型で重く、堅牢で信頼性に優れる一方で設置に制約がある。単体では能動的な電力制御や直流機器の接続ができず、別途、電力変換装置やAC/DC変換装置などをつなぐ必要がある。
SSTは小型軽量で、デジタルでの電力制御やDC給電との双方向電力制御も可能だ。LFTが最大20トン程度なのに対し、SSTは最大500kg程度とコンパクトで、建設期間も半分程度に短縮できる。インフィニオンによると、法規制などの問題で日本での普及には時間を要するが、米国や中国ではすでに立ち上がりのフェーズに入っていて、SST向け半導体市場は2030年までに10億米ドルを超える見込みだという。
InfineonはSST向けに、炭化ケイ素(SiC)採用パワーモジュール「EasyPACK CoolSiC Cパッケージ」(以下、Easy Cシリーズ)のMOSFET搭載品を展開する。パッケージに高耐圧素材を採用したことで750〜3300Vに対応するほか、銅ワイヤなど長期使用を見据えた設計も取り入れている。
「従来のLFTは堅牢で、決まった制御を行う場合は信頼性の高いソリューションだが、グリッドの中で高速かつ柔軟な制御を行うためにはSSTが重要になるだろう。SSTの場合、トランスモジュールが必ずしも高電流に対応している必要はない。そういったシーンに小型高耐圧のEasy Cシリーズは最適で、グローバルでも高評価を得ている。すでにサンプルを提供中で、2026年中の量産を予定している」(藤森氏)
電流を遮断する際、交流回路なら電圧が0Vになる瞬間(ゼロクロス)を利用できるが、直流回路はゼロクロスがないため強制的に遮断する必要がある。高額なサーバ機器を守るためには、とにかく反応速度の速い遮断器が求められる。藤森氏は「システム全体で見て、10マイクロ秒未満程度で電流を遮断できないとデータセンターの安全性を担保できないと考えている。半導体を用いたSSCBが最適で、今後キーになっていくだろう」とする。
SSCB向けには、Easy Cシリーズの1400V耐圧JFET搭載品を提供する。「今後は電流モニターやデジタル制御、遠隔操作などが可能なスマート配電システムの普及が見込まれる。反応速度が速く、SST同様に柔軟な制御が可能なSSCBを使ったサーキットブレーカーが増えていくだろう。SSCB向けのEasy C JFETも、将来的にはより高耐圧な製品を展開する予定だ」(藤森氏)
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