セイコーエプソンの水晶デバイス事業部門と東洋通信機との統合会社で、水晶部品を手掛ける「エプソントヨコム」が2005年10月1日に業務を開始する。これに先立ち、東洋通信機は2005年9月29日に記者会見を開催し、統合会社の事業戦略などを説明した。
セイコーエプソンの水晶デバイス事業部門と東洋通信機との統合会社で、水晶部品を手掛ける「エプソントヨコム」が2005年10月1日に業務を開始する。これに先立ち、東洋通信機は2005年9月29日に記者会見を開催し、統合会社の事業戦略などを説明した。「民生用機器向け部品を得意とするエプソンと、産業用機器向け部品に強みがある東洋通信機、それぞれのノウハウのシナジー(相乗効果)で、2007年度に1000億円の売上高を目指す」(統合会社の代表取締役社長に就任する加々美健雄氏)という。統合前のエプソンの水晶事業と東洋通信機の2004年度の売上高を合わせた額は約840億円。統合後2年間でこの数字を20%程度高めたい考えだ。
加々美氏によると、今回の統合は製品開発面と営業面でともに高い相乗効果が期待できるという。「エプソンと東洋通信機が手掛けてきた製品にほとんど重複がなかったため」(加々美氏)。そこでこの相乗効果を利用し、両社の既存製品群をそれぞれ拡充するとともに、複数のデバイスを組み合わせたモジュール品を投入することで売り上げの拡大を図る。
統合会社で扱う製品群は大きく3つ。(1)水晶振動子や水晶発振器などの「タイミング・デバイス」、(2)光学ローパス・フィルタ(OLPF)や光ピックアップ部品などの「オプト・デバイス」、(3)ジャイロ・センサー(ジャイロスコープを使った角速度センサー)や温度センサー、圧力センサーなどの「センシング・デバイス」である。それぞれが売り上げに占める割合は、「統合当初は90%がタイミング・デバイスで、残る10%がオプト・デバイス。つまりセンシング・デバイスはほぼゼロである。これを2007年ころまでに数%に高める」(加々美氏)。モジュール品としては、「水晶発振器と角速度センサー、光学部品を組み合わせたデジタル・カメラ向け製品などが考えられる」(エプソントヨコムの代表取締役専務で開発技術を統括する宮澤要氏)という。
なお、具体的な相乗効果としては、製品開発では知的財産の相互活用や、開発ノウハウの共有、開発投資の効率化などを挙げた。開発期間の短縮と製品価値の向上が期待できるとする。すでにエプソンと東洋通信機の両社の技術者が参加する開発プロジェクトを進めており、「第1弾となる共同開発品を2005年10月初頭に発表する」(宮澤氏)予定である。
一方、営業では、製品群の拡充が図れることや、海外販売子会社の統合による販売力の向上などを挙げた。
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