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NXP社、1.1GHzで動作するMEMS発振器を開発電子部品 タイミングデバイス

» 2007年12月13日 00時00分 公開
[Nicolas Mokhoff,EE Times]

 オランダのNXP Semiconductors社は、1.1GHzと高い周波数で動作するピエゾ抵抗方式のMEMS共振器を開発したと発表した。同社は、「Si(シリコン)チップに作り込んだMEMS共振器としては、最も高い動作周波数だ」とする。

 同社の研究チームは、2007年12月10日〜12日の日程で米国ワシントンD.C.で開催された「2007 International Electron Device Meeting(IEDM 2007)」で、静電力でSi共振器を駆動し、Si材料のピエゾ抵抗特性を利用して、その機械的な動作を検出するという、まったく新しい原理を考案したことを明らかにした。この原理を使えば、簡単なプロセス技術で製造できる。さらに、共振器の実効インピーダンスを低い値にできる。このため原理上、外形寸法の小型化(スケーリング)の影響をほとんど受けないとする。「微細化を進めても、性能をほとんど低下させずに、高い周波数帯域で動作するMEMS共振器/発振器を実現できる。共振現象の実効インピーダンスは、一般的な手法である容量性結合や電界効果を利用して検出した場合に比べて、かなり低い」(同社)。

 NXP Semiconductors社のCorporate I&T Research事業部で、マイクロシステム技術担当の部門長を務めるReinhout Woltjer氏は、「半導体チップにGHzオーダーで動作するMEMS共振器が集積できるようになれば、無線通信に向けた、高精度で小さい発振器やフィルタを実現できる可能性が開く。さらに、GHzオーダーで動作するMEMS共振器の高い性能はそのままで微細化できれば、かつてない規模での量産が可能となる」と述べた。

 これまでもGHzオーダーで動作するMEMS共振器の試作例はあったが、微細化を進めると、インピーダンスが極めて高くなるという課題を抱えていた。その結果、共振現象を検出した際の信号レベルが著しく低くなるという欠点があった。これまで、MEMS発振器のインピーダンスを下げるために、いくつもの手法が検討されてきた。例えば、容量性結合方式における信号変換部のギャップについて、その幅を狭めたり、アスペクト比を最適化したり、そのギャップを誘電率が高い材料で満たすといった手法だ。さらに容量性結合方式ではなく、ピエゾ抵抗方式を採用する手法を検討されてきた。しかし残念ながら、「いずれも手法でも、共振器の寸法を微細化するとインピーダンスが高くなってしまう。さらに、これらの手法はすべて、製造工程が複雑になり、標準的なCMOSプロセスとの互換性が損なわれてしまう」(同氏)。

 今回、NXP Semiconductors社が発表したMEMS共振器では、n型SOI層の埋め込み酸化膜の下部に、反応性イオン・エッチング(RIE:Reactive Ion Etching)法を使って、共振器を作り込んだ。その後、埋め込み酸化膜に等方性エッチングを施すことで、共振器として機能するようになる。この結果、同じ面積に約4倍の共振器を作り込めるようになるという。IEDMでは、18MHzと74MHz、290MHz、1094MHzで動作するMEMS共振器を披露した。

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