東芝は、モンゴルのコンサルティング企業であるMNFCCとモンゴルの鉱物資源開発に向けた協力を検討することで合意し、覚書を交わした。U(ウラン)や希土類元素(レアアース)や希少金属(レアメタル)などが対象である。
電子機器の製造には、各種の希少鉱物から抽出した金属や金属酸化物が多数必要である。これらの希少資源の多くは中国が供給を独占しており、近年、価格上昇が進んでいる。
中国は2010年7月にレアアースの輸出規制を強化し、2010年7月〜12月の輸出枠を72%削減した。これにより、エネルギーや軍需関連、電子機器の製造に不可欠となる一部のレアアースの価格が6倍以上に跳ね上がった。中国は、領土問題を巡る紛争から、日本へのレアアースの輸出を停止していたが、2カ月の停止期間の後、輸出を再開した。
菅直人首相は2010年11月19日、モンゴルのTsakhiagiin Elbegdorj大統領と会談し、モンゴルの鉱物資源開発に向けて戦略的パートナーシップを締結し、互恵的関係の構築を推進することで合意した。これにより、日本とモンゴルの経済関係を推進する動きがより一層高まると期待される。
この覚書の下、東芝は、モンゴルの持続的な経済成長に重要となる火力や原子力、太陽光発電システムや送電網などの主要な社会インフラ整備の実現可能性を検討するとともに、鉱物資源開発の安定した供給の確保に向けてMNFCCとの相互開発を進める方針だ。
なお、東芝はU鉱石からUを抽出した後に残る溶液からレアメタルであるRe(レニウム)やレアアースであるDy(ジスプロシウム)、Nd(ネオジム)を回収する技術を開発しており、今後、モンゴルの西方に位置するカザフスタンのウラン鉱山で実証実験を開始する。
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