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スマートグリッドが今年のキーワード、UL Japanが事業戦略を明らかにテスト/計測

» 2011年01月26日 13時51分 公開
[前川慎光,EE Times Japan]

 電気製品の安全性を確認する評価・認証機関であるUnderwriters Laboratories(UL)の日本法人であるUL Japanは、2011年1月25日に事業説明会を開催し、2010年の事業内容を振り返るとともに、2011年の戦略を明らかにした。2010年、2011年ともに、「エネルギー」というキーワードが注力事業の軸である。2011年は、エネルギー分配の効率性を高められると注目されているスマートグリッドに関連した分野に特に注目している。

 最先端のPV試験所の稼働開始

 説明会に登壇した同社の取締役社長の山上英彦氏は、まず2010年の事業を振り返り、「エネルギー関連の分野に注力した1年だった」と語った(図1)。

図1 図1 UL Japanの取締役社長である山上英彦氏

 同社にとって2010年の最も大きな話題は、三重県伊勢市に太陽光発電(PV)システム用の試験所を新たに開設したことである(図2)。最先端の試験設備を多く備えていることや、試験所の規模が延べ床面積で1950m2と大きいことなどが特徴のPV試験所だ。「日本国内の企業に対して、PVシステムの安全性や性能に関する試験を、一気通貫で提供できるようになった」(同氏)と開設の意義を語った。これまでは、UL認証を受けるには、海外で試験を受ける必要があったという。

 この他に2010年の話題としては、電気自動車(EV)の関連製品の評価・認証業務に注力したことや、エネルギー効率性の認証サービスを強化したことを挙げた。

 EV関連製品とは、充電スタンドや充電ケーブル、充電コネクタ、急速充電器など。公表されている事例としては、日産自動車の電気自動車「日産リーフ」用の充電ケーブルの評価・認証試験をUL Japanが実施し、UL認証を発行した実績がある。

 一方のエネルギー効率性の認証サービスについては、米国のエネルギースター認証の制度改正を理由に、この分野での業務が増えてきたという。従来、エネルギースター認証を受けるときの評価作業は、各企業が独自に実施していた。ところが2011年1月から、エネルギースター認証を受けるには、米国の環境保護庁(EPA)の認定試験所や、認定機関(CB)において認証を受けることが必要になった。ULはEPAの認定機関であり、2010年12月には伊勢市のPVシステム試験所も認定試験所に登録された。

 スマートグリッド分野を強化

 山上氏は、2010年の振り返りに続いて、2011年の事業戦略を説明した。2011年の事業戦略は主に2つあり、1つは製品単体の安全性のみならず、複数の製品が組み合わされたシステムとしてのパフォーマンスや信頼性の検証作業にも踏み込むこと。もう1つは、スマートグリッドに関連した市場への対応を強化することである。

 「社会が求める安全・安心の要望が多様化していることを背景に、製品単体の安全のみならず、システムとしての信頼性の検査・検証の需要が拡大している」(同氏)という。

 後者のスマートグリッド市場に向けた取り組みについては、太陽光発電パネルや風力タービンといった再生可能エネルギー分野、燃料電池や大型電池の蓄電分野、電気自動車に対する評価体制を強化する。2011年3月には、スマートグリッド市場を対象にしたUL規格を公開する予定である。

図2 図2(a) 三重県伊勢市の太陽光発電(PV)システム用試験所
2010年9月9日に稼働を開始した。Underwriters Laboratories(UL)は米国、中国、ドイツに同様のPVシステム用試験所を有しており、伊勢市の施設は4番目に開設した試験所である。延べ床面積は1950m2と日本で最大規模の施設であることや、最先端の試験設備を導入したことが特徴だという。なおULは、2010年12月にはインドにもPVシステムの試験所を開設した。
図2 図2(b) 超大型環境負荷試験槽
薄膜系太陽光タイプとして最大級の2m×3mサイズのモジュールを試験できる。試験槽を昇温または降温するときの温度変化能力が高いことも特徴である。
図2 図2(c) 大型環境負荷試験槽
合計で12基設置した。その内訳は、高速サイクル試験槽が10基、恒温恒湿試験槽が2基である。
図2 図2(d) 屋外試験用の架台
自然光を照射したときの特性評価に使う。

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