インフィニオンテクノロジーズとインテルは2011年1月31日(ドイツ時間および米国時間)、インフィニオンの携帯電話事業(ワイヤレス・ソリューション事業部)のインテルへの売却が完了したとそれぞれ発表した。インテルは、取得した事業を同社のモバイル通信事業部に組み入れ、独立した企業として運営する。新会社「Intel Mobile Communications GmbH」(略称はIMC)を設立し、すでに業務を開始した。インテルは2010年8月に、インフィニオンの同事業を14億米ドルの現金で買収すると発表していた。
今回の買収に伴って、インフィニオンから新会社のIntel Mobile Communicationsに世界全体で合計約3500人の従業員が移籍するという。IMCの本社は、ドイツのミュンヘン近郊にあるノイビーベルクに置く。IMCの社長には、当初の予定通り、インフィニオンの取締役会メンバーで、ワイヤレス・ソリューション事業部の責任者を務めていたHermann Eul氏が就任した。同氏は、インフィニオンの取締役会メンバーとしての役職は退く。インテル日本法人の広報担当者は、インフィニオンから取得した事業の日本国内における運営方法について、「これからの検討事項であり、現時点では未定だ」と述べている。
なお、インフィニオンのワイヤレス・ソリューション事業部は、携帯電話機向けのチップ以外にも、アナログ/デジタルテレビ用チューナICや衛星ラジオ受信、携帯電話基地局用の高周波パワートランジスタなどを取り扱っており、それらの製品群は引き続きインフィニオンが提供する。
投資銀行のFBR Capital MarketsのアナリストであるCraig Berger氏によれば、この買収によってインテルは2011年第1四半期の売上高を約5億米ドル積み増すことになるという。ただし同氏はこの買収について、インテルの全社的にはそれほど大きな影響を与えるものではないとみており、2011年の1株当たり利益の予測が大きく修正されることはないはずだと述べている。
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