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電池レスのセンサー端末から無線LAN機器にデータ送信、発想の転換でルネサスが実現無線通信技術(2/2 ページ)

» 2011年06月14日 13時25分 公開
[薩川格広,EE Times Japan]
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 さらにルネサス エレクトロニクスは、空間を飛び交う電波から電力を回収するエネルギーハーベスティングの効率を高める新技術も開発した。この成果についても、2011 Symposia on VLSI Technology and Circuitsで、16日(Circuitsの部)に発表する。

 携帯電話や無線LANといった無線通信や、地上デジタル放送など、環境中の電波をアンテナで受信し、整流して直流電力を得るエネルギーハーベスティングである。これらの電波は、場所や時間帯によって強度の周波数分布が大きく変動するため、定常的に電力を得ることが難しい。そこで同社は、強度の高い周波数を追尾し、その周波数にアンテナの共振点を自動的に合わせる技術を開発した。

図6 図6 環境電波の観測例 神奈川県川崎市中原区で観測した例である。強度が時間的に変化していることが分かる。出典:ルネサス エレクトロニクス

 実際には、容量可変回路をアンテナに接続し、受信信号の強度が最も大きくなるようにその容量値を調整する。この回路を作り込んだチップを試作し、1.9〜2.4GHzの同調範囲で環境電波を自動追尾したところ、数μ〜数十μWのエネルギーを回収できたという。同社によると、アンテナの共振周波数を固定し、環境電波を追尾できない従来方式では、回収できるエネルギーは数nW〜数百nWにとどまっていた。

図7 図7 環境電波の自動追尾 アンテナのインダクタンス成分に接続する容量成分の大きさを変化させ、受信信号の強度が最も高くなるように共振点を自動的に調整する。出典:ルネサス エレクトロニクス
図8 図8 試作チップによる自動追尾の評価結果 アンテナの共振周波数を固定した従来の方式に比べて、広い周波数範囲にわたって大きいエネルギーを回収できることを確認した。出典:ルネサス エレクトロニクス

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