シスコシステムズは、このIPトラフィックの予測を基に、サービス事業者は収益化が大きな課題になると指摘した。トラフィックの急激な増加に対し、サービス事業者は通信容量を拡大しても、売り上げが比例して増えるわけではないため、「ビット当たりの収益」が低下して深刻な問題になっている(参考記事:モバイルインターネットが急拡大、帯域幅の危機に半導体業界が挑む)。「今、サービス事業者の事業モデルは過渡期にある。ゼタバイト時代を見据えて、エンドユーザーが求めるサービスを提供しつつ、サービス事業者が生産性を上げられるような、次世代インフラに対するニーズが高まっている。サービス事業者は、新しい事業モデルとパートナーシップで収益の増加を図るとともに、サービス提供インフラの簡素化と、リソースを動的に配分して最適に利用できるような仕組みの構築を進めてコストを削減し、ユーザー体験の向上にも取り組む必要がある」(堤氏)。
シスコシステムズは、サービス事業者のこうした取り組みをサポートするソリューションの1つとして、「Cisco ASR 9000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータ」の新型機群を紹介した。「ゼタバイト時代に向けた次世代インターネットの構築を、圧倒的な通信容量とシンプルな手法で実現できる」(シスコシステムズでアジア太平洋地域および日本のサービスプロバイダービジネス担当最高技術責任者を務めるアレックス・ジニン(Alex Zinin)氏)という。
新型機群では、「Cisco nV(ネットワーク バーチャライゼーション)」と呼ぶ新たな技術を導入することで、性能を大幅に向上させた。同社によるとこの技術は、「ネットワークエッジとアグリゲーション、アクセスレイヤーを高度に融合して、Cisco ASR 9000シリーズで構成する単一のシステムに統合し、運用を簡素化すると同時にネットワーク容量を拡大させて、IPv6サービスの展開を加速させることが可能だ」という。単一システムで収容可能な回線容量は最大96T(テラ)ビット/秒に達し、サービス事業者の運用コストを最大70%削減できると主張する。既に、NTTぷららや、China Telecom、Comcast、Cox Communications、Fastweb、Tata Communicationsなど、世界の大手サービス事業者がCisco ASR 9000の導入を表明している。
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