Freescale Semiconductorは、FTF Japan 2011で、電源ケーブルを使わずに非接触で電力を送るワイヤレス給電技術への取り組みを紹介した。
「立ち上がり時期についてはいろいろな見方はあるが、ここ3〜4年の間に急速に伸びるだろう。非常に期待できる市場だと考えている」――。Freescale Semiconductor(フリースケールセミコンダクター)は、2011年9月13日に開催した総合技術フォーラム「FTF(Freescale Technology Forum) Japan 2011」で、電源ケーブルを使わずに非接触で電力を送るワイヤレス給電技術への取り組みを紹介した。
同社は現在、ワイヤレス給電システムの主に送電側に向けて、既存の汎用マイコンを提案している。具体的には、8ビットマイコン製品群「RS08/S08」や、16ビットのDSC(Digital Signal Controller)「56F800x/56F801x/56F82xx」に、幾つかの個別部品を組み合わせることで、送信側回路を構成できる。同社のこれらのチップは、香港を拠点とするConvenient Powerや、米国のPowermatのワイヤレス給電システムに採用されているという。
これまでは、汎用マイコンやDSCをOEMベンダーや機器メーカーに提供するだけだったが、今後は「Wireless Power Consortium(WPC)」の標準規格(Qi規格)に準拠したリファレンスボード(参照設計)も用意する。
まず、2012年の早い時期に、送電電力が5WのQi規格に準拠した参照設計の提供を始める予定である。ワイヤレス給電システム向けのソフトウェアも、同時期に提供できるように用意を進めている。さらに、提供時期は未定だが送電電力をさらに高めた参照設計も開発している。具体的には、4つのコイルを備え、それぞれの送電電力が30Wの送電台である。現在、WPCでは送電電力を5W以上に高めた中電力の標準規格を策定しており、Freescaleは、「標準規格の公開のタイミングに合わせて、参照設計を提供できるように準備を進めている」という。
同社は2011年2月に、近接電磁誘導を使ったワイヤレス給電技術の業界団体であるWPCに、規格の策定に携わるレギュラーメンバーとして参画した(WPCのレギュラーメンバーの一覧)。「ワイヤレス給電市場の盛り上がりは、国際的な標準規格が不可欠。WPCが標準規格の策定を進めており、WPCに参加した」(同社)という。
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