ICを搭載した電子パスポートの普及が進んでいる。また、今後は、パスポート所有者の顔に加えて指紋や虹彩パターンといった生体情報も、電子パスポートのICに書き込まれるとみられている。
米国の市場調査会社であるIMS Researchは、同社の最新リポート「Electronic Government and Health Care ID Cards – World – 2011」の中で、「今後5年以内に、パスポート所持者の90%が、ICを搭載した電子パスポート(ICパスポート)を使用するようになる」と予測した。機械読み取り式のパスポートから電子パスポートへの移行は、2007年から急速に進んでいる。その結果、現在では、全てのパスポートの半分近くにICが搭載されるようになった。なお、電子パスポートの国際標準は、ICAO(国際民間航空機関)が策定している。
IMS Researchのリポートを執筆したAlex Green氏は、「電子パスポートへの移行は今後も続く見込みだ。電子パスポートの導入をまだ検討していない国もいくつか見受けられるものの、ほとんどの国が既に電子パスポートの発行を開始している。パスポートの切り替えが5年から10年に1度行われると仮定すると、これらの国で発行されたパスポートが全て電子パスポートになるのも時間の問題である」と述べている。
リポートでは、現在発行されている電子パスポートに、どういった生体情報が記録されているのかを分析している。例えば、2010年に発行された電子パスポートには、十分な安全性を備えたICが搭載されていると思われるが、それでも、所有者の顔のデジタル画像以外の生体情報が書き込まれているケースはほとんどなかった。IMS Researchは、こうした傾向は今後変化していくと予想している。Green氏は、「2014年までには、現在とは逆に、顔の情報しか書き込まれていない電子パスポートの方が少なくなるだろう。2014年に発行される電子パスポートのほとんどに、顔のデジタル画像に加えて、指紋や虹彩のパターンなど、生体認証(バイオメトリクス)が行えるような情報が書き込まれるようになる見込みだ」と述べる。
IMS Researchのリポートでは、40カ国の電子パスポート市場を分析している。また、国民IDカードや健康保険証、電子免許証といった、各国政府が発行するカード類についても、同様の分析を行っている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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