メディア
ニュース
» 2011年10月04日 06時00分 公開

LEDの強みとこだわり――ロームが目指すLED照明事業LED/発光デバイス LED照明(2/2 ページ)

[齊藤徹也,EE Times Japan]
前のページへ 1|2       

「品質」こそ市場で生き残る道

 ロームは、約40年培ってきたLEDおよびLED用電源の技術力を生かし、2009年にLED照明事業に参入。既に業務用の直管タイプでは50万本近くの出荷実績があるが、問題は全く起きていないという。四方統括部長は「品質の悪い製品であれば、絶対にリピートは来ない。また買おう、という商品づくりを続けることが、市場で生き残る道だと考えている」と語る。そして、2010年に踏み切った家庭用照明市場への参入も、この品質への自信が後押ししたという。

 創業以来50年、同社が抵抗器や半導体など電子部品の製造販売で成長の道を歩んできたのは周知のとおり。当然、一般消費者向け製品(BtoCビジネス)への参入には、社内でも議論があった。しかし「BtoCはコストが厳しいと言われるが、BtoBだって厳しい。販売にしても、当社が直接取引するのは大手量販店や商社・卸であり、実際はBtoBだ。最も異なるのがアフターサービスであり、BtoBに比べ圧倒的に多い顧客数へのサービス対応コストを抑えるには不良を出さないことが一番。品質に自信があるから、BtoCビジネスは怖くなかった」と当時を振り返る。

 同社のLED照明の強みは、デバイス・モジュールから器具までの開発ならびに製造を、一貫してグループ内で行なっていることによる高品質、開発スピード、コスト競争力だ。1973年の発売以来、高品質LEDの提供を続けてきており、2010年度のLED売り上げは約300億円。さらに家庭用照明市場での販路獲得を狙って、2010年11月に照明専業メーカーの丸善電機を買収した。

photo 「品質に自信があればBtoCビジネスは怖くない」

 丸善電機はLED照明のシリーズに「AGLED」の名称を付けていたが、2011年10月1日を以て社名も「アグレッド」に変更。ロームが手掛けていた業務用LED照明も含め「AGLED」に統一した。設計や製造を中国・アジアのメーカーに委託するLED照明メーカーが多い中、アグレッドは光源・電源をロームの大連工場(中国)で、器具の組み立ては丸善電機の氷上工場(兵庫県)で、と全てグループ内で行なっており、高品質を確保している。

 また買収から1年と経っていない2011年9月に12タイプ41機種もの家庭用LED照明新製品を発表するなど、その開発スピードの速さは業界の常識を覆した。さらに今後は、ロームグループの材料調達力と物流網を生かしたコスト競争力も大きなメリットとなるはずだ。

 性能面でも、AGLEDシリーズは独自技術に裏打ちされた強みを発揮する。消費電力、寿命、明るさ(光束量)、演色性、光の広がり方(配光性能)、安全性など、前述した電球のさまざまな性能指標はトレードオフの関係にある。どれか1つを高めれば他の性能が犠牲になるのが電球の宿命。これらをバランスよく、かつそれぞれの性能を高めることこそLED照明技術の神髄と言える。

 その一例が、業界最薄の39ミリという薄型デザインを実現したシーリングライト。これはLEDモジュール自体の薄型化により達成したものだが、通常はモジュールを薄くすると熱が逃げなくなり、安全性が低下してしまう。これを解決したのが光拡散技術と放熱技術であり、四方統括部長は「クルマのエンジンルームの中での放熱技術など、超高温下での放熱を何十年もやってきたノウハウが当社にはある。家庭用照明は少なくとも人が住める範囲での放熱なので、ギリギリの薄さまで持っていけた」と明かす。

photo 業界最薄の39ミリという薄型デザインを実現したシーリングライト
photo ゴルフボールよりも薄い

 同社のLED照明で最もこだわっていることが、この「安全設計」だという。電源設計においては付け間違いや落雷まで考慮に入れて安全を確保。「一度でも悪い評判が出たら、当社はもちろん、LED照明業界全体が苦しくなる」と、四方統括部長はこだわりの理由を語る。

 もう一つのトレードオフが、配光性能と直下光束量の関係だ。現在商品化されているLED照明は、配光性能を犠牲にして直下の明るさを高めているものが多い。その理由は、施設などの大型物件の入札時の指標として、直下の明るさが採用されているためだ。なるべくコストを抑えて直下を明るくするには、光源の位置を下げ、光の広がる範囲を狭めるのが簡単なやり方。しかし実際に使うときは、直下だけでなくある程度の範囲の明るさもユーザーは求める。この両方のニーズを満たすために同社が採用したのが、配光技術と色を固定させる技術。四方統括部長は「光の広げ方をコントロールする配向技術は、駅などで使用されるドットマトリックスLED表示ディスプレイで長年鍛えられてきた。この技術をさらに磨くことで、ミニクリプトン代替ランプで業界最高のビーム角270度を実現できた」と語る。

 また一般消費者がLED照明に最も求めるものといえば「省エネ」だが、2011年秋の新製品ではシーリングライトAC-60084/60085/60086/60080で、81.3ルーメン/Wという業界最高レベルの省エネ性能を達成。これは丸善電機時代からの光学設計ノウハウに加え、それぞれの器具に最適な光源・電源をロームが開発し、省エネ性能を一段とアップさせることに成功したものだ。

 機能面でも独自の新機能が盛り込まれている。ローム製LED光源の特徴の一つが、明るさと光色を自在に調節できる「2665通りのあかり」。20%の暗さから100%の明るさまで明暗を73階調、白色から暖色まで光色を73階調、それぞれ調節することができる。2665通りのイメージは、明暗をX軸、光色をY軸とし、それぞれプラス方向36階調、マイナス方向にも36階調あり、これらの頂点を結んでできた菱形。この範囲内で、シーンに合わせたあかりの演出を楽しむことができるということだ。

photo 明るさと光色を自在に調節できる「2665通りのあかり」

 さらに新シリーズでは、暮らしに合わせた最適な色温度を自動で選択するサーカディアンリズム機能を新たに搭載した。日中は白色〜昼白色、夜は落ち着いた電球色と、24時間最適な光でくつろぎを与える。四方統括部長は「ユーザーはより明るい方を好む、と考えるのはメーカーの自己満足にすぎない。照明を楽しめる機能こそが、付加価値となるはず」と語っており、引き続き新機能による付加価値を追求していく考えだ。

photo

関連キーワード

LED | LED照明 | ローム


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.