京セラが開発したタッチパネルは、タッチパネルを振動させる周波数や振幅を圧電素子で変えることで、タッチパネルに触れたとき、「クリック感」や「ぐにゃりとした感触」、「押し込んだ感覚」といったさまざまな感触を与えられる。
京セラは、触覚伝達技術を採用したタッチパネルを開発し、エレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2011」(2011年10月4日〜8日に幕張メッセで開催)に参考出品した。
タッチパネルに4つの圧電素子を配置したもので、タッチパネルを振動させる周波数や振幅を圧電素子で変えることで、タッチパネルに触れたとき、「クリック感」や「ぐにゃりとした感触」、「押し込んだ感覚」といったさまざまな感触を与えられる。圧電素子は、タッチパネルを押したときの変位量の検出と、タッチパネルを振動させる役割を担う。
触覚伝達技術(触覚フィードバック技術)そのものは、新しい技術ではない。2002年ころから登場しており、CEATEC JAPANにおいてもここ数年、複数の企業が米国に本社を構えるImmersionが特許を有する触覚フィードバック技術を採用したタッチパネルを展示していた。例えば、SMKやアルプス電気、北陸電気工業といった企業である。京セラは、Immersionの特許技術を採用していないと主張する。「タッチパネルの振動によって、指の神経を刺激することでさまざまな擬似感覚を与えられる独自技術を開発した」(同社)。
KDDIのブースでは、京セラの触覚伝達技術を採用したスマートフォンを使ったデモが、多くの参加者の注目を集めていた(関連記事)。
同社のブース担当者によれば、スマートフォンが欲しいけれど、購入しない理由を調査したところ、文字入力への不満が上位5位以内にランクインしたという。すなわち、ソフトウェアキーボードでは、文字を入力した感覚が無く、今までと使い勝手が大きく異なるという不満だ。触覚伝達技術をうまくスマートフォンに取り込めば、この課題を解決できる可能性がある。
「触覚伝達技術はまだ基礎技術と見られてきたが、スマートフォンのユーザーインタフェースとして使えるレベルにまで開発が進んでいることをアピールしたい。キーボードにタッチした後の反応速度やクリック感は、ほとんど違和感ないだろう」(同担当者)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.