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機器が待機状態なら消費電力はほぼゼロ、省エネACアダプタをタムラが展示CEATEC 2011

タムラ製作所の新型ACアダプタは、ノートPCなどの機器がシャットダウンされると待機状態に切り替わり、無駄な消費電力を抑える機能を備えている。待機時の消費電力は、一般的なACアダプタの1/100以下だという。

» 2011年10月06日 13時11分 公開
[薩川格広,EE Times Japan]

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 電子部品を手掛けるタムラ製作所は、無負荷時の消費電力が2mW以下と非常に小さいACアダプタの新製品をエレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2011」(2011年10月4〜8日に幕張メッセで開催)に出品した。「ゼロワットACアダプタ」と呼ぶ。既に機器メーカーに向けた供給を始めており、富士通が2011年の夏モデルとして投入したノートPCに採用されている。エンドユーザーがノートPCをシャットダウンした後にACアダプタで消費されていた電力を、極めて小さく抑えられる。

図1 電力計を使って、一般的なACアダプタとタムラ製作所の新製品の無負荷時の消費電力をそれぞれ測定してみせていた。一般的なものは、0.36W程度の読み値を示していたが、新製品はこの写真のように0.0002W(0.2mW)程度と極めて低かった。なお電力計の上に載っているのが新製品を採用した富士通のノートPCである。

 タムラ製作所によると、一般的なACアダプタは、機器がシャットダウンした後でも電源コンセントにつながっている限り電力を消費し続けており、その大きさは「80WクラスのACアダプタで200〜300mWに達する」(同社の説明員)。AC入力を整流した後のDC電圧を機器に供給する電圧値に変換して安定化するDC-DCコンバータ回路で生じる、スイッチング損失が大きな要因だという。スイッチング動作を停止させたとしても、DC-DCコンバータ制御ICの自己消費電力や、その周辺の受動部品群で生じる損失は無くならないので、通常は「100mW弱までしか低減できない」(同説明員)。これをタムラ製作所のACアダプタは、2mW以下と「ほぼゼロ」(同説明員)まで低減した。

図2 一般的なACアダプタは、待機時(無負荷時)の消費電力が比較的大きい上に、入力のAC電圧が大きくなるとそれに従って無負荷時消費電力も大きくなってしまう(図中、青色のトレース)。これに対しタムラ製作所のACアダプタは、無負荷時消費電力が標準1.5mWと小さいことに加えて、入力電圧が大きくなってその値がほとんど変わらない(赤色のトレース)。

 実現手法については、「現在、特許申請中なので詳細は明かせないが、独自の回路技術で実現した」(同説明員)という。ACアダプタの機器側のジャックに新たな端子を1つ設け、機器から待機状態に入ったことを知らせる信号を受け取って、ACアダプタを待機状態に切り替えて消費電力を抑える仕組みだ。「仮に、ACアダプタ側で機器が引き込む電流を検出し、それが減少したことで機器の待機状態を検知してACアダプタを待機状態に切り替えるという手法を使うと、待機状態から復帰させることが難しくなる。そこで、機器側からACアダプタに対して、待機状態と動作状態を通知する信号を送るという手法を採用した」(同説明員)。同社によれば、このACアダプタはノートPCの他にも、テレビ受像機などにも有効だという。

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