ARMが発表したGPUのエコシステムには、BroadcomやSamsung Electronics、STMicroelectronicsなどに加え、Intelが半導体パートナーとして名を連ねている。
ARMは2011年11月にGPU(Graphics Processing Unit)の新製品「Mali-T658」を発表したが、その半導体パートナー(ARMコアを統合したチップを開発する半導体ベンダー)の中に、Intelの名前がある。
Intelは、言うまでもなく、汎用プロセッサの分野ではARMの競合である。また、Intelは、自社でグラフィックス関連の技術を開発する能力を十分に備えていると考えられている他、ARMにとってGPU分野での競合相手となるImagination TechnologiesのグラフィックスIP(Intellectual property)「PowerVR」のライセンシー(ライセンス利用者)でもある。こうした点から考えると、今回のニュースは驚くべきものだといえる。
もちろん、Imagination Technologiesにとって、Intelはただのライセンシーではない。Intelは、Imagination Technologiesの株式を取得しており、2009年6月時点でその保有率は約14%であった。なお、ほぼ同じ時期に、Intelと同様にPowerVRのライセンシーであったAppleは、Imagination Technologiesの株式保有率を9.5%にまで高めている。
いずれにせよ、2011年の収益見込みが500億米ドルという、Intelのような巨大企業であれば、各応用分野に合わせてグラフィックスチップ関連の戦略を立てることは十分可能だろう。また、Intelは2010年末にInfineon Technologiesの無線事業部門を買収している(関連ニュース)。これにより、ARMのライセンス契約をInfineonから引き継いだ可能性もある。
ARMによると、同社は既に43のパートナー企業とMali-T658のライセンス契約を結んでおり、これまでに10社がロイヤリティを支払ったという。ただし、ARMのエコシステムの半導体パートナーとして報道資料に名前が掲載されたのは20社ほどである。一般的に、企業は商業的な理由からライセンシーを長い間公表しないことも多い。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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