日産車体はトラック向けのアラウンドビューモニターを開発した。車両周辺の映像を上方視点から確認できるトップビューの他、荷室上面の前方に設置したカメラから後方を撮影した映像により、駐車時における高所の障害物と荷室の接触/衝突を避けられる。
日産車体は、「第42回東京モーターショー2011」(一般公開日12月3〜11日、東京ビッグサイト)において、2012年以降に小型トラック「アトラスF24」への搭載を予定している3つの車載システムを公開した。
3つのうち1つは、2012年秋からの導入を目指して開発している、リチウムイオン電池を電源として荷室内の冷凍を行うシステムである。同システムについては、@IT MONOistの記事で詳細を紹介している。残りの2つは、トラック向けに開発した「マルチビューモニター」と「ボックスイージーエントリーシステム」である。
マルチビューモニターは、日産自動車のミニバン「エルグランド」などに搭載されている乗用車向けのアラウンドビューモニター(サラウンドビュー)をベースに開発した。乗用車向けのアラウンドビューモニターの場合、4台の車載カメラを、車両前部、左右のサイドミラー、車両後部に設置する。これに対して、マルチビューモニターでは、4台の車載カメラを、荷室の左右側面と荷室後部の上端、そして荷室上面の前方に設置している。車両周辺の映像を上方視点から確認できるトップビューは、荷室上面の前方以外に設置している3台の車載カメラの映像を用いる。このため、トップビューに車両前方の映像は表示されない。
一方、荷室上面の前方に設置したカメラからは、同カメラの後方を撮影した映像が得られる。この映像の中では、荷室上面が高さの基準となるので、障害物の高さを確認しやすい。駐車時に用いれば、荷室上面と同程度の高さに位置する障害物を避けるのに役立てられる。なお、荷室後部の上端に設置したカメラで撮影したリアビューでも、高所にある障害物の有無は確認できるが、その高さは分かりづらい。「トラックは、乗用車と比べて車両前方の視界が広く開けているので、乗用車のトップビューで必要になる車両前部のカメラは不要だ。この余ったカメラを荷室上面の前方に設置することで、トラックの駐車時に配慮しなければならない高所にある障害物の確認が容易になった」(日産車体)という。同システムは2012年春に市場投入する予定である。
ボックスイージーエントリーシステムは、宅配便やコンビニなどの配送業務に利用するトラック向けに開発したキーレスエントリーシステムである。配送業務に用いるトラックの場合、荷室や車両のドアの開閉を1日で300回行うこともある。それだけの回数ドアの開閉を繰り返すと、1年程度で鍵が金属疲労によって壊れてしまう。このためキーレスエントリーシステムは必須になっている。しかし、従来は運転席のドアの開閉にしか対応していなかった。
今回開発したシステムは、運転席のドアだけでなく、荷室のドアに対しても共通のキーレスエントリーを利用できる。「トラックの場合、車両は自動車メーカーから、荷室は架装メーカーから提供されることが多い。このため、車両と荷室を一括で扱えるキーレスエントリーシステムの実現は難しかった」(日産車体)という。同社は、架装メーカーの北村製作所と協力することにより、今回のシステムの開発に成功した。
同システムによる鍵のロック/アンロックやドアの開閉は、以下のようなプロセスで行う。まず、リモートキーを持った人物が車両や荷室のドアの周辺1m以内に近付くと、鍵がアンロックされる。ドアの開閉は、ドアハンドルの横にあるボタンを押すかドアハンドルを引くかすればよい。もし、鍵がアンロックされてから約5秒間ドアの開閉が行われないと、再度鍵は自動的にロックされる。日産車体は、「こうすることで、配送時などに荷物を両手で抱えていてもドアを開閉できるようになった。市場投入は2012年秋を予定している」と述べている。
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