EE Times誌が、2012年の注目技術の1つとして取り上げた印刷エレクトロニクス。英国の企業がパイロット製造ラインを立ち上げることで、同分野の技術開発が加速するかもしれない。
プリンテッドエレクトロニクス(印刷エレクトロニクス)技術の開発を手掛ける英国の新興企業PragmatIC Printingは、英国政府が支援する研究開発機関であるCentre for Process Innovation(CPI)で、パイロット製造ラインを稼働する計画「P4イニシアチブ」を発表した。
PragmatICは現在、CPIでパイロット製造ラインの設置作業を行っている。同製造ラインは、ライセンシー(ライセンス利用者)の他、処理装置メーカーや補完技術を提供する企業、印刷加工やラベリングなどのシステムインテグレータなどが利用すると見込んでいる。2012年第4四半期までに製造ラインの運用を開始する予定だという。
PragmatICは2010年に、英国のベンチャー企業であるNano ePrintの印刷エレクトロニクス事業を買収した。同事業を買収したことで、PragmatICは、Nano ePrintが保有していた、シングルステップの印刷パターニングで単一半導体層を作製する特許技術を手に入れた。同技術は、プレーナ型のナノエレクトロニクスデバイスの実現に向けて開発されたものだ。PragmatICは、この技術をさらに発展させて、透明で折り曲げられる半導体に、サブミクロン〜ミクロンサイズでデバイス/回路アーキテクチャを印刷できるようにしたという。
PragmatICのCEO(最高経営責任者)を務めるScott White氏は、発表資料の中で「印刷エレクトロニクス製品の実用化に取り組む企業が、当社の技術に関心を持ち、P4イニシアチブの共同研究開発に参加してくれることを期待している」と述べる。
また、CPIで印刷エレクトロニクス技術担当ディレクタを務めるTom Taylor氏は、「P4イニシアチブは、CPIの他の研究活動を補完するプロジェクトでもある。特に、『Integrated Smart Systems(統合型スマートシステム)』ラインでは、PragmatICのプリント回路とその他の印刷技術やエレクトロニクス技術を組み合わせて、革新的な製品を実現できると考えている」と語った。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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