米DuPont社は、印刷で回路を作った有機ELディスプレイを試作し、記録的な寿命を達成したと発表した。これは、有機ELテレビ実現への道を開く成果といえる。
同社は今回、他社に先行している材料化学の技術を投入し、有機ELディスプレイを低コストで製造する方法を開発した。この製法を採用することにより、ディスプレイの寿命を延ばせるという。テレビ受像機に応用すれば、1日の視聴時間を8時間とした場合、15年以上の耐用年数を実現できるという(1日のうち30%の時間を、ビデオ再生に費やしたと仮定した)。
DuPont社でElectronics & Communications部門担当プレジデントを務めるDavid B. Miller氏は、「現行の製造方法では、材料を蒸着させる必要があるため、製造コストが高くなり、なかなか普及が進まなかった。同じ理由で、大型の有機ELディスプレイの製造は難しいとされていた。当社が今回開発した印刷で有機ELディスプレイを製造する技術を採用すれば、製造コストを大幅に削減できるだけでなく、テレビに向けた大型ディスプレイの製造も可能になる」と述べている。
DuPont社が今回開発した製造方法で印刷した有機EL素子の輝度半減寿命は、赤色で2万9000時間、緑色で11万時間、青色で3万4000時間に達し、テレビと同等の性能を実現している。
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