省電力データセンターを実現する同社の発想は、必要なだけ冷やし、不必要な冷却は避けるというものだ。そもそもなぜサーバを冷却しなければならないのか。それは、ある温度以上に達するとCPU性能が低下するからだ。サーバ用CPUの種類にもよるが、約90℃である(図4)。CPUの設置位置情報とCPUの温度情報を見ながら、動作温度を管理しなければならない。
では冷却を抑えて90℃ギリギリに保てばよいのか。そうではない。CPUが内蔵するトランジスタの挙動を考えると、動作温度が上がるほどトランジスタのリーク電流に起因する消費電力が増える。ファンの消費電力は温度が高いほど下がる。つまりどこかに2つの電力の和が最小になるポイントがあるはずだ(図5)。
最適温度が計算できれば、次はCPUの温度を最適なポイントに保つ手法が必要になる。まずはファンの効果的な利用方法だ。
「もともと、小型のファンを高速回転させるよりも、大型のファンを低速回転させた方が消費電力が小さいことは分かっていた。だが、サーバとファンを分離すると、特定のサーバ(CPU)の温度が上がったときに対応しにくいだろう。そこで、各地のデータセンターを調査したところ、予想に反してCPUの温度のバラツキは小さかった」(堀江氏)。このような理由から、ファンレスサーバと外付けの大型ファンという組み合わせを選択した*4)。
*4) 大型のデータセンターではサーバ内蔵ファンを前提とした設計となっているため、同社ではコンテナデータセンターからファンレスサーバの導入が進むと予想している。
次に課題となるのは制御だ。従来の管理システムをそのまま使うと、サーバ管理システムがCPU温度を計測し、過熱したときはスロットリング処理を進め、CPUの動作周波数を引き下げる。コンテナ空調はサーバ管理システムとは独立しており、気温センサー情報に基づいて空調やファンを制御することになる。サーバ管理と空調管理が独立しており、これが無駄な空調消費電力や、サーバの性能低下につながる(図6)。
富士通の手法は、CPUの温度を計測し、外気やサーバラック周辺温度と照らし合わせ、空調ファンの回転数を直接決めるというものだ(図7)。21個のファンを設置し、個別に回転数を制御する。
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