富士通研究所が開発した技術は、制御システムだけではない。コンテナデータセンターの空調方式自体にもさまざまな工夫が凝らされている。
従来のコンテナデータセンター(図8)と比較して、富士通研究所のコンテナデータセンターの内部構造は図9のように改善されている。
外気の温度は季節や天候によって変化する。ファンの回転数だけでは特に季節の温度変化に対応できない。そこで、同社は2つの仕組みをコンテナデータセンターに導入した。1つは水の利用、もう1つは排気の利用だ。
外気温が35℃以上に上昇したとき、水を利用する。水とはいっても水冷用のパイプを使うのではなく、水の気化熱で外気を冷やしてから専用ファンでコンテナ内に引き込む気化式冷却機の利用だ(図10)。「気化式冷却機が必要なのは夏季のごく限られた時間だけだと考えている」(富士通研究所ITシステム研究所サーバテクノロジ研究部の米澤遊氏)。このため、水道水を利用しても、塩素ガスがサーバに与える影響は小さいと考えているという。
排気とは、サーバラックを通過して温度が上がった空気(戻り暖気)をいう。外気温度が10℃以下に下がったときは、排気を天井を通じてサーバ前面に戻す仕組みを取り入れた(図11)。ファンの手前に排気を戻す際、ダンパーの角度を変えることで、導入量を調整できるようにしている。
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