NECは、スマートエネルギー事業をITソリューション、キャリアネットワーク、社会インフラに続く第4の柱に育てていく計画だ。NECグループ内にある二次電池や電気自動車の充電システム、ICTを利用した管理システムなどの技術・製品をまとめ上げ、2017年には売上高3000億円を目指す。中核となるのは「中型電池」だ。
「NECにはエネルギー関連事業があるのかと、よく質問を受ける。当社はリチウムイオン二次電池に強みがあり、中規模の蓄電システムを中心にエネルギー関連事業を第4の柱として育てていく」(NEC執行役常務の國尾武光氏、図1)。
2007年にNECグループと日産自動車の折半出資会社として設立したオートモーティブエナジーサプライ(AESC)。電気自動車向け電池のシェアは、同氏によれば約50%に達するという。AESCは自動車向け高性能リチウムイオン二次電池の電極に強みがあり、同じ構成の二次電池を車載以外の可搬型や定置型の蓄電システムに展開していく。「電池は一声10年の使用期間があり、電池セルはもちろんだが、電池の制御が重要になる。従って、家電やPCのような価格競争、すなわちコモディティ化は、起こるとしても遅くなるだろう」(同氏)。
2012年7月10日、NECは報道機関と投資家向けに「スマートエネルギー事業説明会」を開催、同社の事業方針と中長期的な成長戦略を説明した。冒頭の國尾氏の発言はそのときのものだ。同社は2012年4月に社内の組織体制を刷新し、スマートエネルギー事業本部を設置。エネルギー事業に本格的に取り組み始めた。
売上高は2011年度の実績が640億円、2012年度の予想が740億円とNECの売上高全体から見るとまだ少ないが、2017年度には3000億円を計画する(図2)。
NECは、スマートエネルギー事業本部の下に、3つの部門と子会社をまとめ上げた。すなわちエネルギー事業開発本部と子会社である高砂製作所、エネルギーソリューション事業部、電極事業部である。「それぞれの部門に業界トップレベルの製品を抱えている。まずは国内を中心にデバイスやコンポーネントに注力する。2017年には、ハードウェアではなく、システムやサービスが注力事業となり、海外比率が30〜50%に高まるだろう」(國尾氏、図3)。
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