NECはさまざまな電池のうち、中型電池が蓄電システムの中核となると判断した。なぜだろうか。「まず小型電池が家庭に入っていくが、管理コストなどの要因により、やがて、集合住宅で1個、地域単位で1個というように中型電池に集約していくと考えている。系統と接続する大型電池は各国の政策に左右されやすいため、見込みがたちにくい」(國尾氏)。
冒頭の発言にあるように、NECの蓄電システムの強みは、AESCの車載用ポリマーリチウムイオン二次電池にある(図4)。これを出力1k〜15kWの小型電池、出力60kW程度の中型電池、出力が最大150MWの大型電池に展開していく。電池セルの形状や特性は異なるものの、基本的にはAESCの車載用と同じものだ。
小型電池は既に製品化が進んでいる。NECは2012年3月に容量5.5kWhの「家庭用蓄電システム」を発表(関連記事)、NECグループの高砂製作所は、2012年5月に6.5kgと軽い可搬型の事務所用「ポータブル電源」を製品化している。
中大型電池は実証実験などで性能を評価している段階である。経済産業省が委託した横浜スマートシティプロジェクト(YSCP、関連記事)では、容量250kWhと50kWhの試作機を導入済みだ(図5)。
大型電池は、BEMS(Building and Energy Management System)の一要素としてビル内の電力デマンドレスポンスを担ったり、変電所においてCEMS(Cluster Energy Management System)を構成したりするという。CEMSにおいては、蓄電SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)が重要であるとした。いずれもYCSPで導入済みである。
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