2013年に“エレクトロニクスの世界を変える”10の技術をピックアップして紹介する。それらの技術の中には、家電向けの新たなユーザーインタフェースや半導体製品向けのバーチャル試作ツールなど、さまざまなものが含まれている。多種多様ではあるものの、それぞれが対象とする分野にイノベーションをもたらすという点では違いはない。
米EE Timesの編集部がピックアップした「2013年に、エレクトロニクスの世界に大きな影響をもたらすであろう10の技術」を紹介する。ピックアップした技術の種類は多岐にわたるが、いくつかの技術には1つの傾向が見て取れる。それは、昨今の機器が備える情報通信機能に焦点を絞っているということだ。
Cisco Systemsによると、ネットワークへの接続機能を備えた機器の数は、既に世界の人口を上回っている。また、米国の市場調査会社であるGartnerによると、2013年にはスマートフォン/タブレット機器がさらに12億台以上増える見込みだ。さらに、米国のIT調査会社のIDCによると、情報通信技術に関連する市場の総売上高は、2013年に3兆米ドルを超えるという。
こうした背景の下、2013年のエレクトロニクス業界を展望すると、スマートフォン/タブレット機器向けのタッチスクリーン技術から、疾病管理/エイジングインプレイス(Aging in Place:高齢者が最期まで住み慣れた地域社会で暮らせる仕組み)向けの健康監視用無線機器に至るまで、さまざまな分野の情報通信機器に影響を与える技術を取り上げることになるのは当然のことだろう。以下、ピックアップした各技術について簡単に紹介する。
1つ目は、3Dジェスチャ技術である。この技術を使うことにより、画面を指でなぞる既存の方法では行えないような極めて微細な操作が可能になる。
STMicroelectronicsでアナログ/MEMS/センサー部門のゼネラルマネジャーを務めるBenedetto Vigna氏は、静電容量方式のマルチタッチスクリーンコントローラ向けのICを披露してくれた。このICは、タッチスクリーンに触れることなく、その上に浮いた状態にある指を感知することができる。右の写真で、指の下にある円形のドットに注目してほしい。
なお、この写真はVigna氏が音声コマンド機能を使用している様子を撮影したものである。この音声コマンドを使うことでも、タップ、ドラッグ、メニュー選択といった全ての操作が可能だ。
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HetNet(Heterogeneous Networks)技術は、スマートフォンやタブレット機器、そして「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)」に属する機器が著しく増加したことによって引き起こされた「データの氾濫」という問題を解決してくれるであろう。同技術を利用すれば、基地局の導入コストと運営コストの双方を低減できるようになる。それにより、4G(第4世代)の通信サービスは、より手ごろな料金で利用できるようになるだろう。フェムトセル(最大ユーザー数が16)、ピコセル(同100)、メトロセル(同256)、マクロセル(同1000)の中から適切な容量のものを選ぶことで、RRH(Remote Radio Head)はコアネットワークに対して最適なバックホールを扱えるようになる。
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