最近は赤字や経営難ばかりが取り沙汰されているソニー。オーディオや映像、ゲームなどの分野で数々の大ヒット製品を生み出してきた輝かしい歴史は、忘れ去られているようにすら感じる。だが同社の製品ポートフォリオを詳しく調べてみれば、市場をけん引してきた名機や一流技術の存在に、あらためて気づくはずだ。
ある企業が輝きを失ったとき、その企業の従業員たちを非難するのは常に簡単なことだ。
ソニーは、輝かしい歴史と世界を熱狂させた数々のイノベーションがあるにもかかわらず、ここ数年は経営難に悩まされている。ハイテクの大御所は世間から見放され、その優れた革新的な技術は20世紀の遺物となった――。
果たして本当にそうなのだろうか?
EE Timesはソニーの製品ポートフォリオを詳しく調べ、業界アナリストらの意見も聞いた上で、9つの製品および技術を選定した。いずれも、数々の市場セグメントにおいて、ソニーが打ち立てた前人未到のリーダーシップを立証するものである。
ソニーのCEOである平井一夫氏は、昨年、中核事業とみなす「モバイル機器」「ゲーム」「デジタル画像」に注力することで、エレクトロニクス事業を立て直す方針を明らかにした。
ソニーは、無秩序に拡大した事業のスリム化を迫られている。それでも、多くのソニーウオッチャーは、特に映像部門とオーディオ部門におけるソニーの比類なき優れた技術を信頼し続けている。ただし、オーディオとビデオにおいて伝統の専門技術を用いたとしても、ソニーは、手っとり早く儲(もう)けることはもちろん、経営難から立ち直ることもできないだろう。とはいえ、そうした技術は、ソニーが“確かな製品”を作るための基盤となっている。ソニーのファンはそのような製品に引きつけられて、お金を余分に払ってでもソニーの製品を買うのだ。
なぜ、多くのエキスパートは、「ソニーがソニーであり続けること」に敬意を表し続けるのか。次のページからは、その理由の例を挙げてみよう。
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