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ソニーは再び輝けるか、復活支える名機と一流技術(前編)フォトギャラリー(3/5 ページ)

» 2013年03月15日 09時30分 公開
[Junko Yoshida,EE Times]

 半導体市場において、ソニーを「今後、急成長する企業」だとする見方は少数派だ。

 2012年の世界半導体売上高は、2011年から70億米ドル減少し、低迷状態に陥った。IHS iSuppliのアナリストであるDale Ford氏によると、こうした状況の中でもQualcommは、2桁台の成長率を実現するという突出した勢いを見せ、2013年の世界半導体売上高ランキングでは第3位の座を獲得する見込みだという。同社の携帯電話機向けチップは、Appleの「iPhone 5」をはじめ、大きく成長しているスマートフォン市場で広く普及している。このため、今後Qualcommの業績が好調に伸びていくことは容易に予測できる。

 しかしIHS iSuppliは、「こうした状況の中、ソニーが、今後最も大きな成長が見込まれるトップ20社の第1位にランクインしたのは驚くべきことだ」と述べている。

 ソニーの半導体部門の成長をけん引するのは、イメージセンサー部門に他ならない。Ford氏によれば、ソニーのイメージセンサーの売上高は現在、同社の半導体部門の売上高全体の約60%を占めているという。

 現在、イメージセンサーの世界市場は、比較的順調な成長を遂げている。2012年の同市場は、成長率19%で拡大する見込みだ。Ford氏によると、中でもCMOSイメージセンサーの世界売上高は、前年比で31.8%増加する見込みだ。同氏は、「さらに驚くべきことに、ソニーのCMOSイメージセンサーの売上高は、前年比で2倍以上増加すると予測されている」と付け加えた。

 また、Samsung ElectronicsとAppleの両社が、フラッグシップ製品であるスマートフォンにソニーのイメージセンサーを採用していることからも、ソニーのイメージセンサー部門における成長は間違いないとみていいだろう。加えて、同社がさらに革新的なイメージセンサーの開発に取り組んできた点にも注目したい。

 ソニーは2012年に、世界初をうたう積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS」を発表した。従来は、画素の領域と信号処理回路の領域を横並びに配置していたが、Exmor RSではそれらを積層している。これにより、チップサイズの小型化を実現した。また、撮影時に同一画面内で2種類の露出条件を設定し、それらに適切な信号処理を加えることで、ダイナミックレンジの広い画像を撮影できる「HDR(ハイダイナミックレンジ)ムービー」機能も搭載している。このため、逆光で撮影した場合でも、色鮮やかな画像を生成することができるという。

 ソニーは、積層型CMOSイメージセンサーの開発拠点を置く長崎テクノロジーセンターに、新たに9億9400万米ドルを投資する。また、2013年9月末までには、生産能力をウエハー換算で月産6万枚に増強する予定だ。

積層型CMOSセンサーのイメージ図 出典:ソニー

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