IBM Researchが、原子を使って製作した1分半の映画を公開した。走査型トンネル顕微鏡を使って、何千個もの原子を人や物の形に正確に配置した静止画像を作り、それをコマ撮りしたという。
IBMの基礎研究所であるIBM Researchは2013年5月1日、原子が“主演”の映画を公開した。作品名は「A Boy and His Atom(少年と彼の原子)」。何千個もの原子を人や物の形に配置して、1分半にわたる、約250フレームのコマ撮り映画を製作したという。
この映画は、走査型トンネル顕微鏡(STM:Scanning Tunneling Microscope)を使って原子を動かして製作された。STMはIBMが発明した顕微鏡で、原子の表面を1億超倍*1)に拡大して観察できる。そのため、高い精度で原子を動かすことが可能だという。具体的には、標準的なコンピュータでSTMを遠隔操作し、非常に鋭利な針の先に原子を引き付け、配置していった。
*1)1億倍のイメージ:1個の原子ならオレンジの大きさに、オレンジなら地球の大きさになる。
今回、映画を製作した研究チームは、わずか12個の磁性原子に1ビットの情報を記録する技術を開発したチームでもある(関連記事:12個の原子で磁気メモリを構成、HDDの記録密度が100倍に高まる可能性も)。
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