米大学が、フレキシブルなだけでなく、伸縮も可能な有機ELディスプレイを試作した。持ち歩くときはポケットサイズ、使うときはタブレットサイズになるようなスマートフォンが、開発されるかもしれない。
米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究グループは、透明で伸縮自在な有機ELディスプレイの試作品を発表し、デモを披露した。変形による影響を受けない材料のみを使って開発すれば、将来的には、自在に伸縮し、折り曲げたりたたんだりすることもできる有機ELディスプレイを実用化できる見込みだという。これにより、新しい形状のスマートフォンや、電子機器を衣服に組み込んだ“ウェアラブルエレクトロニクス”、壁紙のような照明パネルなど、新たに幅広いユーザーエクスペリエンスを提供できるようになるという。
UCLAの材料工学科の教授であるQibing Pei氏は、EE Timesのインタビューで、「スマートフォンであれば、ポケットに入るサイズでしまっておき、使用するときは見やすい大きさの画面に拡大するといった使い方が考えられる」と応用例を挙げた。「伸縮性と柔軟性を著しく高めることにより、壁紙のような有機ELパネル/ディスプレイを実現することができる。使用しないときは折りたたんで小さくすれば持ち運びも楽になる」(Pei氏)。
Pei氏は、このようなコンセプトを実証すべく、同氏が指導するUCLAのSoft Materials Research Laboratoryの研究者Jiajie Liang氏と、伸縮自在な2種類の小型有機ELディスプレイを作成した。1つは照明パネルで、もう1つは5×5画素の受動ディスプレイである。デモではいずれも、元の形状から30%大きいサイズまで伸縮させる試験を1000回以上行い、問題なく動作し続けることが実証された。また、元の形状の2倍以上の大きさに伸ばした状態でも動作した他、あらゆる方向に180度折り曲げることも可能だという。
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