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画面を“引き伸ばせる”スマホの誕生も? 伸縮自在な有機ELディスプレイを試作【動画あり】LED/発光デバイス 有機EL(2/2 ページ)

» 2013年10月08日 11時19分 公開
[R Colin Johnson,EE Times]
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 有機ELディスプレイは、陽極や陰極、電子注入層など複数の層で構成される。研究グループは、伸縮自在で折り曲げ可能な有機ELディスプレイを実現するにあたり、これらの層の材料を全て見直したという。Pei氏は、今回の成功に至った重要な要素として、以下の2点を挙げている。

 「1つ目が、エラストマ膜の表面層に銀ナノワイヤーを添加して導電性ネットワークを形成した、透明電極の開発だ。2つ目が、『発光型電気化学セル(LEC:Light-emitting Electrochemical Cell)』と呼ばれる有機ELディスプレイ用アーキテクチャの開発である。LECデバイスは、半導体とイオン伝導体(電解質)を混合した、薄い発光層を利用している」(Pei氏)。

 今回の有機ELディスプレイは、LECを伸縮性のある透明電極で挟む構造になっている。この透明電極は、銀ナノワイヤーを使ったゴム状のポリマーで作られている。試作品では、透明電極が最上層では横方向に、最下層では縦方向に並んでいる。これにより1つ1つの画素を個別に動作させることに成功したという。

試作した有機ELディスプレイの構造(クリックで拡大) 出典:UCLA

 研究グループは次の段階として、有機材料が空気中やフレキシブルTFT上で劣化するのを防止すべく、カプセル化手法の開発に取り組んでいる。これにより、伸縮性に優れ、折り曲げも可能な同じ材料を使用した、アクティブマトリクス方式の有機ELディスプレイの実現を目指すという。

 今回の研究開発には、UCLAで博士課程を修了した研究者であるLu Li氏や、かつてUCLAの博士課程修了研究者で、現在は米University of California at Berkeleyの博士課程修了研究者であるZhibin Yu氏、UCLAの博士号取得候補者であるXiaofan Niu氏なども参加している。また研究資金については、米国立科学財団(NSF:National Science Foundation)と、空軍科学研究局(Air Force Office of Scientific Research)からの提供を受けているという。

UCLAが公開した、伸縮自在な有機ELディスプレイの動画 出典:UCLA

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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