ここで、再び、東京都港区赤坂にあるEE Times Japanのオフィスに戻ります。
―― 私の考える、「(3)ネット時代の「『新』見える化」」の趣旨は、3つあります。
(1)「数値」と「分析」というエンジニア的な視点から、時事問題を把握すること
正直に言うとですね。私はもういいかげん飽きたのですよ、正論とか正義とか理念とか倫理とか、そういう、唯一解を導き出せない議論の応酬に。ならば、私たちエンジニアが得意とする「数字」と「分析」で何かを語ってみても良いかな、と思いました。
(2)エンジニアは、結構、「美味しい職業」であることを再発見すること
こういうアプローチって、エンジニアでなければできないことじゃないですか。私は、エンジニアだからこそ、案外、他の分野の理解が容易になるのではないかと思っているのです。
(3)私が嬉しい、ということ
もし、私たち人類が「数字」が嫌いであれば、このコラムは読者に受けないかもしれません。それでも、私にとっては、「この歳になっても分からないことばかり」という状態を少しでも解消できるのであれば、誰よりも、この私が嬉しいのです。
―― と、副編集長さんと、担当さんのお二人に、以下の説明用の資料をお見せしながら、お話させていただきました。
その結果、この(3)ネット時代の「『新』見える化」で始めてみよう、ということになりました。
さて、これから、この連載をどのように進めようかと考えています。
私は、これから検討する予定の分野の専門家ではありませんし、エンジニアではありますが、データ解析のプロというわけでもありません。
一方、私は、そのような、専門分野の専門家の方の記事や、データ解析のプロの結果を、『全く理解できなかった』から、この連載を始めたいと思ったのですから、彼らと同じアプローチを試みたら、はっきり言ってあほうですよね。
そこで、私は、「公開されているデータ」と「電卓」をベースに、この連載を進めていきたいと考えております。まあ、時々計算表アプリケーション(Excelなど)や、簡単なプログラムを使うこともあると思いますが、いずれにしてもその計算プロセスや計算結果は、全て公開する予定です。
そして、その「数値」に対する、私の「気持ち」を皆さんに届けていきたいと考えております。驚き、怒り、喜び、悲しみを、素直に表現して、私の想いを、皆さんと共有したいと考えております。
それでは、読者の皆さま、そして編集部の皆さま、これから、新連載「世界を「数字」で回してみよう」にお付き合いいただきたいと思います。よろしくお願い致します。
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江端智一(えばた ともいち)
日本の大手総合電機メーカーの主任研究員。1991年に入社。「サンマとサバ」を2種類のセンサーだけで判別するという電子レンジの食品自動判別アルゴリズムの発明を皮切りに、エンジン制御からネットワーク監視、無線ネットワーク、屋内GPS、鉄道システムまで幅広い分野の研究開発に携わる。
意外な視点から繰り出される特許発明には定評が高く、特許権に関して強いこだわりを持つ。特に熾烈(しれつ)を極めた海外特許庁との戦いにおいて、審査官を交代させるまで戦い抜いて特許査定を奪取した話は、今なお伝説として「本人」が語り継いでいる。共同研究のために赴任した米国での2年間の生活では、会話の1割の単語だけを拾って残りの9割を推測し、相手の言っている内容を理解しないで会話を強行するという希少な能力を獲得し、凱旋帰国。
私生活においては、辛辣(しんらつ)な切り口で語られるエッセイをWebサイト「江端さんのホームページ」で発表し続け、カルト的なファンから圧倒的な支持を得ている。また週末には、LANを敷設するために自宅の庭に穴を掘り、侵入検知センサーを設置し、24時間体制のホームセキュリティシステムを構築することを趣味としている。このシステムは現在も拡張を続けており、その完成形態は「本人」も知らない。
本連載の内容は、個人の意見および見解であり、所属する組織を代表したものではありません。
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