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日本の電力は足りているのか?――“メイドの数”に換算して、検証してみる(前編)世界を「数字」で回してみよう(2)(1/4 ページ)

夏がくるたびに繰り返される電力需要の議論。果たして、日本の電力は足りているのか、いないのか。まずは日本全国で使われている電力をイメージするために、われわれがいったい「何人のメイド」を働かせているのかを計算してみよう。

» 2014年07月08日 11時20分 公開
[江端智一EE Times Japan]

 今年も夏が来ます。

 暑く、しんどく、寝苦く、そんな中でもネクタイにスーツを着なければならないこともある(サラリーマンはツラいのです)、そういう夏です。本当に ―― 夏なんて死ねばいいのに。そして、電力の需要量で、毎年、「電力が足りる/足りない」の議論が繰り返される夏です。

 この連載が始まる前から、私は「電力が足りているのか、足りていないのかは、自分で確かめる」と決めていました。

 本連載、「世界を『数字』で回してみよう」の最初は、「日本の電力、足りているの? 足りていないの?」をテーマに、前後半2回に分けて検討してみたいと思います。

 あらかじめ申し上げておきますが、私は、今回のコラムで、原発再稼働の是非や、再生可能エネルギーの可能性について論じるつもりはありません。我が国の将来のエネルギー施策についてもスコープ外とします。

 また、このコラムでは、仕事をする/させる単位時間(1秒)当たりの電気の力を「電力」、電力に時間を乗算したものを「電力量」と呼ぶことにします。

「電力が足りない」とは、どういう意味なのか

 最初に、「電力が足りない」とはどういうことをいうのか考えてみたいと思います。

 ひと言で言えば、「使う電力の量が、作る電力の量を上回る」ということです。ただ、これが普通の「足りない」の考え方とは、随分違うのです。

 「水」を例にとって比べてみましょう。異常な少雨や枯渇などによってダムの貯水量が減少したという「足りない」であれば、取水制限、断水という措置によって「足りない分は使わない」という対応が可能です。

 電力も水も私たちの生活にとって、非常に貴重な資源であることは間違いないのですが、かなり性格が違います。細かいことにこだわらないのであれば、以下のように言えます。

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