セッション11(生命科学向けのセンサーとイメージャ)では、PET(陽電子放射断層撮影)やfNIRS(近赤外脳機能計測)といった脳活動の計測を担う半導体チップの開発成果が相次いで発表される。
PET(Positron Emission Tomograhpy)向けの半導体チップを開発したのは、オランダのDelft University of Technologyである(講演番号11.4)。6万7392個のSPAD(Single-Photon Avalanche Diode)によるマルチチャンネル・デジタルSiPM(Silicon Photo-Multiplier)だ。光電子増倍管の置き換えを狙う。48psの時間分解能を有する時間デジタル変換(TDC)回路を内蔵した。解像度と分解能を高めることで計測時間を短縮し、被験者の被ばく量を減らせる。
fNIRS(functional Near-InfraRed Spectroscopy)向けの半導体チップは、韓国のKAISTが発表する(講演番号11.1)。携帯型の脳機能計測装置を実現することが狙い。検出可能な電力は15pWと低い。
このほか、蛍光寿命イメージングに向けたイメージセンサーを、静岡大学とマレーシアPutra Universityの共同研究チーム(講演番号11.2)と、イタリアのFBK(Fondazione Bruno Kessler)(講演番号11.3)がそれぞれ発表する。
セッション27(物理センサー)では、自動車の安全性を高める高機能センサーが興味深い。
自動車の走行中に発生する横滑りを抑制する装置に、電子姿勢制御(ESC:Electronic Stability Control)ユニットがある。このユニットに向けた3軸ジャイロスコープを、米国とドイツのRobert Boschが発表する(講演番号27.1)。−40℃〜140℃の温度範囲で、ドリフトは±0.1℃/秒と小さい。
自動車のタイヤ空気圧を常にモニタするシステム(TPMS:Tire Pressure Monitering System)に向けた、無線通信機能付き圧力センサーを米国のUniversity of Washingtonと米国Avago Technologiesが共同で発表する(講演番号27.4)。検出範囲は±0.68psi(ポンド/平方インチ)。体積は0.8mm3と小さい。
このほか、非接触電流測定向けの磁束デジタル変換器ICを米国とオランダ、英国のTexas Instrumentsによる共同開発チームが報告する(講演番号27.9)。サンプリング速度は200kサンプル/秒である。分解能は13.5ビットと高い。
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