東京大学や大阪府立産業技術総合研究所などのグループは2015年1月26日、印刷で製造可能な有機温度センサーと有機半導体デジタル回路を開発したと発表した。
東京大学や大阪府立産業技術総合研究所などのグループは2015年1月26日、印刷で製造可能な有機温度センサーと有機半導体デジタル回路を開発したと発表した。同センサー/回路を用いた電子タグを作製し、「電子タグとして温度センシングと商用周波数での温度データ伝送に世界で初めて成功した」という。なお、この研究開発は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受けて実施されている。
作製した電子タグは、有機材料を用いた温度センサーとデジタル回路で構成するもので、全て印刷で製造できるという。同グループでは、2013年度に印刷可能な有機半導体による電子タグを開発している(関連記事)が、当時はアナログ回路によるアナログ信号の伝送にとどまっていた。
デジタル回路を形成するには、アナログ回路よりも微細にn型、p型の2種の有機半導体を作製する必要がある。東京大学のグループは、有機半導体を溶液で塗布すると同時に結晶化させて薄膜にする「塗布結晶化法」を改良し、p型/n型の両半導体の有機単結晶をライン上に連続成長させ、CMOS回路を集積する技術を新たに開発。p型/n型の有機半導体分子を混合することなく、規則正しく配列させることに成功した。
p型/n型有機半導体の結晶膜は、幅100μm程度。キャリア移動度は16cm2/Vsと「多結晶半導体並みの高い移動度を実現した」という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.