稼働期間が十数年におよぶようなシステムの場合、保守部品の調達は常に大きな懸念点となる。最近は、供給期間をWebサイトなどで明示する半導体メーカーが増えてきた。ルネサス エレクトロニクスは、こうした取り組みを積極的に進めている。
前回に続き、ルネサス エレクトロニクス(以下は「ルネサス」と呼称)の顧客向け講演会兼展示会「Renesas DevCon JAPAN in Osaka」(以下は「デブコン大阪」と呼称)から、同社の最新ソリューションを紹介する。今回は、半導体製品の長期供給に関するソリューションを取り上げる。
稼働期間が長い期間、例えば10年〜15年を超えるシステムで常に問題となるのは、保守部品の調達である。システムが稼働を始め、数年後あるいは十数年後に何らかの理由で半導体部品や電子部品などが故障したとする。故障した部品はシステムから取り外し、新品の部品と交換しなければならない。
このため、システムを生産している企業やシステムを保守している企業などにとっては、十数年後に新品を入手可能かどうかは重大事である。半導体メーカーが既に生産を休止しており、なおかつ自社に在庫がない場合は、半導体商社の在庫を探したり、同じ機能を代替可能な製品を探したりしなければならない。運良く新品の在庫があれば良いものの、代替品しか見つからない場合は、事態はより深刻になる。代替品はたいてい、故障した部品とはピン配置の互換性がない。対応策としては例えば、ピンを再配置するボードを設計し、製造し、システムに組み込む方法がある。時間もコストもそれなりに掛かるが、同じ部品が見つからないのであれば、仕方がないともいえる。
こういった面倒を避けるためには、半導体メーカーがあらかじめ、何らかの形で供給期間を明示することがきわめて有効である。そこで最近では、自社のWebサイトで製品の供給期間を公表する半導体メーカーが増えてきた。ルネサスもおよそ1年ほど前の2014年1月21日に、長期にわたって供給する製品の情報をWebサイトで提供していくことを発表した(関連記事:ルネサスが長期供給製品の情報提供をスタート)。この情報提供プログラムをルネサスは「長期製品供給プログラム(PLP:Product Longevity Program)」と呼称している。デブコン大阪でルネサスはPLPを基調講演で紹介するとともに、展示会場でPLPに対する取り組みの現状を説明し、来場者の注目を集めていた。
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