EETJ スマートフォンやデジタルカメラ向けなどが主力のイメージセンサー市場は、競争の激しい市場ですが、この時期にイメージセンサーメーカーを買収して事業強化された狙いをお聞かせください。
雨宮氏 われわれのイメージセンサー事業で、特にターゲットを置いているのが、車載市場だ。ADAS(先進運転支援システム)は高級車に限らず、あらゆる車種へと搭載され、それに従いカメラ需要もグッと伸びていくと見込んでいる。
買収した1社であるアプティナは、非常に車載カメラ向けイメージセンサーに強く、ADAS分野では“標準的なイメージセンサー”といっても良いほどの実績を持つ。日本国内に限っても、車載向けで大きなビジネスを展開してきた経緯がある。ここへイメージセンサー周辺デバイスとともにシステムレベル提案できる“クロスセル”の要素を加えることでオン・セミコンダクターの強みを押し出し、より競合他社との差別化を図っていく方針だ。
EETJ イメージセンサーの国内での販売体制の整備状況はいかがですか。
雨宮氏 イメージセンサーは機器の心臓部といえるほど、技術ノウハウが必要で専門的なサポートを提供しなければならない。そこで、基本的には国内でも多数の実績を残してきた旧来のアプティナの販売/サポート体制をそのまま維持、増強している。そこにクロスセルが行えるリソースを追加している状況だ。トゥルーセンスの製品については、産業機器向け、マシンビジョン向けに強く、需要増が期待できる。イメージセンサー事業部として、旧アプティナのリソースも活用することで、ビジネス拡大を図っていく。
EETJ 日本国内における2015年度の事業戦略をお聞かせください。
雨宮氏 ここ数年の基本戦略に変わりはない。具体的には、自動車、産業機器、白モノ家電向けのモーターコントロール関連製品、パワー/エネルギーマネジメント関連製品の提案の強化を続ける。ここにイメージセンサーが加わったことがこれまでとの違いであり、製品構成の広さという強みがより増したことになる。
2014年度は金額ベースで前年比2倍以上のデザインインを獲得したが、2015年度もデザインイン獲得をさらに伸ばす計画であり、継続して技術サポート体制の拡充を行っていく。同時に、提案力、デマンドクリエーション(需要創造)力の強化を図るために、販売代理店網の拡充も継続する。販売代理店網については、2014年度に、マクニカ、リョーサンと新たな代理店契約を結ぶなどして再編を終えている。従来の代理店を含めた新たな販売体制として、2015年度は成果を挙げて将来の売り上げ成長につなげたい。
EETJ アプティナ、トゥルーセンスの他にも2011年の三洋半導体など近年、多くの企業を買収されてきました。
雨宮氏 事業買収を続けた結果、ディスクリートからアナログ、パワーそしてSoCまで広範な製品を提供できるようになった。パッケージに関しても、所望のサイズを全て取りそろえているといえるほど、充実していると自負している。この品ぞろえ、スケール感は、当社の強みだ。ただし、まだまだ顧客には広範な品ぞろえを認知されていない。各営業担当が全ての製品を紹介できる体制を作り、地道に置き換え提案を図り、国内ではまだまだ根強い“オン・セミコンダクター=ディスクリート”というイメージを変えていきたい。
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