日本メーカーの1/3から半額以下の価格、しかし耳にしたこともないようなテレビメーカーが作った4Kテレビ。会社そのものもできて10年もたっておらず(当時)、社員数も100人に満たない。これが日本であったら、はたして需要があっただろうか?
「そんな訳わからないところのテレビを買って大丈夫なの?」「どうせすぐ壊れるんじゃない?」「見た目もきっと安っぽい作りなんだろうなぁ」などなど、「安かろう・悪かろう」と思ってしまうに違いない。
ところが、この4Kテレビは低価格帯にもかかわらず高性能なのだ。
3840×2160ドットの4K(Ultra HD)液晶パネルを搭載し、64エリアのLEDバックライト部分制御によるコントラスト向上や強化した動画応答性など、高画質を重視。6コアGPUとデュアルコアCPUの「VIZIO V6」プロセッサによる高速動作を実現している。HEVCデコーダも内蔵し、4Kのストリーミングも楽しめる。さらに、IEEE 802.11acの無線LANを内蔵し、スマートテレビ機能も装備。YouTubeやNetflixなどのサービスに対応し、スマートフォン/タブレットと連携するセカンドスクリーン機能も備えている。
その上、外観も安っぽいものではなく、スイッチ類にはアルミ合金を多用するなど、高級感あふれるデザインなのだ。
そう……「安かろう・悪かろう」が当てはまらないのである。
性能もデザインも良く、おまけに圧倒的な安さ…となれば売れないはずはない。事実、4Kテレビに限らずVIZIOの液晶テレビは、よく売れている。2013年の北米の液晶テレビ市場において、VIZIOのシェアはSamsung Electronicsに次いで2位である。ちなみに同年の液晶テレビ世界市場のシェアベスト3は、1位がSamsung(韓国)、2位がLG Electronics(韓国)、3位はTCL(中国)だった。4位以下にシャープ、パナソニック、ソニーがランクインしてくる。
そう……VIZIOの液晶テレビは売れているのである。しかも新興国ではなく、アメリカでだ。
第1回の記事の図1で示したとおり、価値づくりとは「顧客への価値提供」と「競合との差別化(自社の独自性)」だ。
価値づくりの条件として、以下の2つが挙げられる。
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