米国の液晶テレビメーカーVIZIOは、社員が100人にも満たない小規模の企業だ。技術的にも日本のメーカーにはかなわない。だが同社のテレビは、米国でとにかくよく売れているのである。それは、なぜなのか。理由を考えていくと、同社が、製品の性能だけでは決まらない価値を追求していることが見えてくる。
2014年1月のニュース(The VERGE)で、米国VIZIOが、50インチサイズの4Kテレビ「VIZIO P-Series」を999.99ドル(約10万5000円、当時の為替レート)の価格で発売されることが判明し、一部ではあるが大きな反響を呼んだ。この4Kテレビは、世界最大規模の家電見本市「2014 International CES」(2014年1月7〜10日、米ラスベガス)で発表されたものだ。
今でこそ、50インチで実勢価格20万円を切る4Kテレビが日本メーカーから登場してきたものの、当時は軒並み20万円をはるかに超える価格であった。
実際の販売は、2014年9月から米国の主要小売店で開始された(参考ニュース)。ここでいう主要小売店とは、コストコ、ウォルマートなどであり、日本でいうところの家電量販店ではない流通経路であることもいかにもアメリカらしい。食料品、生活雑貨などの買い物のついでに、箱のまま積まれたVIZIO製のテレビを、大きなカートに乗っけてレジまで運んで購入するのだ。
さて、VIZIOとは、どんな会社なのだろうか?
社員数は100人にも満たない、LED・LCD・HDTVを主要製品とする小さなファブレス液晶テレビメーカー(台湾に製造委託)で、2005年に設立された会社である。
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