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NXPとの合併準備は順調――Freescale CEO2015年最初の大型M&A案件(3/4 ページ)

» 2015年05月12日 12時25分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

「企業C」はアバゴか

 Freescaleとの交渉を最後まで継続していたのは、企業CとNXPの2社だった。しかし、企業Cは2015年2月28日に、競争から手を引く決断を下した。企業Cは、Avago Technologiesではないかと見られている。

 Reuters(ロイター通信)は2015年3月4日付けの記事で、Avagoは2015年2月末頃まで、Freescaleの買収を狙っていたと報じている。しかし、Freescaleの株価が上昇したことによって買収価格も跳ね上がり、Avagoにとっては高額すぎて手が届かなくなったようだとしている。また、交渉の内容に詳しい人物たちの話を引き合いに、「Avagoは、Freescaleとの合併による相乗効果がNXPのようには見込めないことを認識していたようだ。このためAvagoは、買収による成果を高めるための手段として、コスト削減を実現すべく、Freescaleの資産のうち利益の少ないものを一部処分しようと考えていた」とも報じている。

 NXPのClemmer氏は、Freescaleの買収を発表した時点でEE Timesのインタビューに応じ、「NXPのFreescale買収は、戦略的買収であり、Avagoが好んで行っているような短期的な方策によるものではない」と述べている*)

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 Clemmer氏とLowe氏がこれまでに主張してきた内容から、NXPとFreescaleが互いに親近感を抱いていることがよく分かる。Lowe氏によると、「両社は、非常によく似た立場と経歴を共有している。例えば、NXPはPhilipsから、FreescaleはMotorolaからそれぞれ分離独立していることの他、両社ともプライベートエクイティファンドによって買収されていることなどが挙げられる」と述べる。

 Lowe氏が説明しているように、合併後の新企業は、非メモリ半導体メーカーとしては世界第4位を、自動車業界向けの半導体サプライヤとしては世界トップの座を獲得することになる*)。同氏は、「今回の合併によって生まれる新企業は、Freescaleのマイコン市場における位置付けと、NXPのセキュリティ分野における専門知識をうまく利用することにより、モノのインターネット(IoT)市場において最も包括的かつ完成度の高い企業になるだろう」と主張する。

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