図2は音が鳴った後の瞳孔のサイズの変化を示したもの。横軸の単位は秒、縦軸は瞳孔のサイズをある単位で測定した結果だ。それぞれの音の音圧はそろっている。被験者には10種類の音を聴かせた。
音が鳴ってから約0.5秒後に最初の小さな反応が現れている。この反応は音の種類にあまり依存しない。1〜2秒後にも反応が現れる。ここで音の種類によって瞳孔の開き方が変わる。
1〜2秒後に現れる変化の違いを示したものが、図3だ。横軸は本人の主観により、それぞれの音の目立ちやすさを数値化したもの、縦軸は瞳孔の直径だ。明らかに瞳孔の寸法と音の目立ちやすさに正の相関があることが分かる。これが今回の成果だ。
この研究はどのような応用ができるのだろうか。電子機器などのユーザーインタフェースの設計に役立ちそうだ。思わず聞いてしまう目立つ音の設計・評価に役立つ。
「目立ちやすい音には個人差があり、ある個人にとっては例えば鳥の声を目立つと感じる。その場合は鳥の声で瞳孔が大きく開く」(古川氏)。このような反応の違いは経験に依存するらしい。
今回の実験結果を次のように応用できるかもしれない。さまざまな音を聞かせたとき、瞳孔の広がりを記録すると、どの音が目立って聞こえているのかを本人に聞かないでも分かることになる。
スマートフォンやタブレット端末にはフロントカメラが備わっているものが多い。スマホのアプリケーションが利用者の瞳孔のサイズを測り、利用者ごとに異なる最適な警告音を選び出す、といったことが可能になるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.