あなたの知らない「音」の世界、体に起こる不思議な反応:新技術(5/5 ページ)
記者も耳反響放射のテストを受けてみた。ただ座っているだけのテストだ。まず耳栓付きのイヤホンを両耳にセット。次に左耳からときおり、ガリッという音が聞こえてきた。すると、音(Noise)が聞こえたときのみ、耳反響放射(OAE)の出力(縦軸)が下がっていた(図10)。
図10 強い音(NOISE)を聴くと、耳反響放射が下がった
今回の研究が実証したのは、耳音響放射と騒音性難聴リスクに相関関係があること。図7からは保護機能の強さが分かる。図9の実験からは、耳反響放射(遠心性投射)の強さが分かる。2つのデータの相関を調べると、保護機能が強い人(横軸)ほど、聴力低下(縦軸)が生じにくいことが分かった(図11)。
図11 強い音に影響を受けにくい人を耳反響放射から見分けることができる 出典:NTTコミュニケーション科学基礎研究所
NTTコミュニケーション科学基礎研究所による3つの聞こえに関する実験は、それぞれ独立している。それでも、共通した考え方に基づいているのだという。
「脳内の神経のメカニズムを知ること自体は重要だ。しかし、それだけでは、聞いた音をどのように個人が感じているかといった情報を外部に取り出すことはできない。応用につながらない。そこで、今回の3つの実験ではこれまでの研究者があまり調べていなかった、伝統的ではない手法を利用して、成果を得た」(古川氏)。
>>↑↑↑特集ページはコチラから↑↑↑<<
- 競技場を丸ごと3Dで配信!? 圧倒的な臨場感を実現する映像伝送技術【動画あり】
NTTは、「NTT R&D フォーラム 2015」(2015年2月19〜20日)の一般公開を前に、プレス向け発表会を行った。今回の目玉は、東京オリンピック・パラリンピック観戦に向けた次世代プロジェクションマッピング技術「イマーシブテレプレゼンス技術 Kirari!(以下、Kirari!)」である。まるで競技場にいるかのような高い臨場感を実現している。ぜひ、デモ動画で実際にご覧いただきたい。
- 振動を利用して“手を引かれる感覚”を再現、歩行ナビに応用
NTTは、「NTT R&D フォーラム 2014」において、NTTグループやパートナー企業との研究成果を発表した。振動を利用する歩行ナビゲーション機能や、8Kの映像をブラジルから日本に転送する技術、着るだけで心拍などを計測できるウェアなどを紹介した。
- スマホの画面を見るだけでロック解除、虹彩認証システム
富士通は、スマートフォンの画面を見るだけでロックを解除できる虹彩認証システムを開発し、同技術を搭載したスマートフォンを試作した。赤外線LEDから赤外線を目に照射し、さらに赤外線カメラで撮影することで虹彩パターンを取得する。この虹彩認証システムは、2015年度中の製品化を目指す。
- 内耳を“電源”として利用、MITがインプラント型デバイスを開発
マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学らの研究グループが、哺乳類の内耳を電源として利用することで、インプラント型の電子デバイスを駆動するというデモを披露した。内耳には音を電気信号に変換するための電圧を生成する仕組みが存在する。その電力の一部を流用して、デバイスを駆動することに成功したという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.