メディア

NRAMの早期実用化を目指す、Nanteroが資金集めを加速企業動向(1/2 ページ)

カーボンナノチューブを使ったメモリ「NRAM」を手掛けるNanteroが、NRAMの実用化に向けて積極的に資金集めを行うことを明らかにした。NRAMは、読み書き性能がNAND型フラッシュメモリに比べて100倍高速で、耐性も優れているという。

» 2015年06月11日 11時30分 公開
[Gary HilsonEE Times]

 米国のNanteroはこれまで、表立った活動を控える、“ステルス”のようなモードで運営を続けてきたが、投資ラウンドで資金を調達していく考えであることを明らかにした。同社はその理由について、独自に開発しているNRAMが、ストレージクラスのメモリとしての位置付けを獲得し、フラッシュメモリやDRAMに取って代わっていく体制を整えたためだとしている。

 NanteroのCEOであるGreg Schmergel氏は、EE Timesの電話インタビューに応じ、「NRAMは、カーボンナノチューブを使用する。カーボンナノチューブは直径が1〜2nmで、鉄よりも強度が高く、半導体チップに使われている他のどの材料よりも導電率に優れている」と述べている。なおNanteroのNRAMは、「Nano-RAM」とも呼ばれている。

photo NRAMがベースとしているカーボンナノチューブのイメージ

 同社は現時点で、投資家たちから3150万米ドルを調達しているという。エンタープライズ/消費者用途に向けたNRAMの開発を加速するための資金に充てていく。

 Nanteroは、2001年に設立された企業だが、現在もまだ新興企業としての位置付けにある。EE Timesは2013年に、注目すべき新興企業トップ10社の中にNanteroをランクインさせていた。

4Mビット品で高い歩留まり

 Schmergel氏は、「Nanteroは、さまざまなシステム/機器メーカーとの協業によって成果を生み出し、“ステルスモード”での運営から抜け出す時期に到達した」と述べる。同氏によると、NRAMの実用化と量産においてメドが立っていて、4Mビットのメモリチップで高い歩留まりを実現し、サンプル出荷を開始しているという。また、7つあるCMOS製造工場では、NRAMの製造装置の設置も完了している。

 Schmergel氏は、「NRAM技術は、さまざまなメリットをもたらすだろう。例えば、NRAMの読み書き性能は、DRAMとほとんど同じだが、モバイル機器やSSDに搭載されているNAND型フラッシュメモリと比べると100倍高く、耐性にも優れている」と述べる*)

*)関連記事:カーボンナノチューブを使った「NRAM」の基本動作を実証

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.