NRAMに関してはこれまでに、極端な温度下でも安定性を維持できることを実証するための試験が行われてきた。航空機/宇宙船の開発メーカーであるLockheed Martin(ロッキード・マーティン)の他にも、NASAがスペースシャトル「Atlantis」において放射線を照射するなど、さまざまなテストが実施されたという。
さらに、NRAMの実用化によってもたらされるメリットとしては、DRAMやフラッシュメモリに比べて低消費電力化を実現できる他、より小型のサイズで、より多くのデータ量を確保できるようになることなどが挙げられる。Schmergel氏は、「このようなメリットは、ノートPCやモバイル機器向けに適しているだけでなく、ウェアラブル機器やIoTデバイスに対しても魅力的だ。今は予測できないような用途も、今後現れてくるだろう」と述べる。
また同氏は、「NRAMは、費用対効果の面でも魅力がある。例えば、カーボンナノチューブはサイズが極めて小さく、簡単に微細化できるため、他のメモリ製品のような製造上の課題に直面することがない。また、製造装置の完全な互換性を実現するために数年間を要したものの、既存のCMOS工場には装置を追加する必要がない」と述べる。
Nanteroは、自社ではNRAMを製造せず、技術ライセンスをデバイスメーカーに供与する予定だ。Schmergel氏によれば、最初のチップは、メモリスロットに組み込める、DRAMと互換性を持ったモジュールになるという。NANDフラッシュの上部に搭載するイメージだ。
市場調査会社であるWebFeet ResearchのCEOを務めるAlan Niebel氏は、「NRAM技術を10年以上手掛けてきたNanteroにとって、勝負の時が来た」と話している。「カーボンナノチューブの耐性は、とても魅力的だ。もしNanteroが、同社が主張する通りにNRAMのコストを下げられれば、かなり興味深い技術になるだろう」(Niebel氏)。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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