宇宙空間に太陽電池を設置し、マイクロ波で地上に送電する。そうすれば天候に左右されることなく、24時間、安定した太陽光発電が可能だ――。京都大学の篠原真殻教授が、“エネルギーに困らない社会”を目指す、壮大な「宇宙太陽発電所(SPS)構想」を語った。
宇宙空間で太陽光発電を行い、その電力を地球に送信する――。AWR Japan(National Instruments)が開催した開発者向けイベント「AWR デザインフォーラム」(2015年7月10日)の基調講演で、京都大学 生存圏研究所の篠原真殻教授が、このような壮大な夢を語った。
日本では太陽光発電に対する注目が再び高まっている*)。原子力発電に対する不安の高まりや、固定価格買取制度によりメガソーラーの導入が進んでいるからだ。しかし、「地球上には大量に太陽電池が存在するようになったが、大きな問題がある」と篠原氏は語る。
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それは、太陽光発電の稼働率(発電する時間の割合)が低いことである。篠原氏によると、「太陽光発電の稼働率は14〜15%しかない」という。当然だが、太陽光発電は夜に発電することができない。その時点で稼働率は50%になる。昼間も、日照時間や、太陽光が斜めに入るなどの要因によって稼働率は大きく左右される。
稼働率が低いことに派生して、2つの問題も生じる。14〜15%しか稼働率がないと、値段が高くなるのだ。固定価格買い取り制度が始まったときは1kWh当たり42円。現在は27円まで下がったが、火力発電所などで売電されている電力の値段よりも数倍高い値段である。
もう1つは、電力会社が不安定な太陽光発電をバックアップする電力を持たなければいけないことだ。
これらの問題を解決する策として、篠原氏は「宇宙空間での太陽光発電」を掲げる。
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