このほど、Google(グーグル)とDelphi Automotive(デルファイ)の自動運転車が路上で、衝突寸前のニアミスを起こしていたことが判明した。人為的ミスの存在しない自動運転車同士のニアミスの一因は、V2V(車車間)通信技術を搭載していなかった点にあるだろう。
Google(グーグル)とDelphi Automotive(デルファイ)の自動運転車が2015年6月、米国カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto)市の路上で衝突事故を起こしそうになった。両社はこの件について、大した問題ではなかったとの見方を主張している。
幸いなことに、2台の自動運転車は衝突を回避することができたようだ。しかし、自動運転車が急きょ車線変更を中止することによって衝突を回避したという、“ユーザーエクスペリエンス”についてはどうなるのだろうか。
NXP Semiconductorsの自動車事業部門でビジネス開発担当ディレクタを務めるAdrian Koh氏は、米国カリフォルニア州サンタクララで2015年7月20〜22日に開催された「Embedded Systems Conference 2015(ESC 2015)」で行われた討論会「Why Connect Cars?(なぜ今コネクテッドカーなのか)」の中で、こうした“ユーザーエクスペリエンス”に関する疑問を提示した。
Delphiの広報担当者は、EE Timesの取材に対し、「Delphiの自動運転車は、Google Carの動きを見極めることによって、想定通りの適切な車線変更を行った。実際に運転する場合によく起こり得るような状況に対処しただけだと認識している」と述べている。
Google側も同様に、「普通の自動車であれ自動運転車であれ、路上を走る時間が長くなるほど事故は起こるものだ」と説明している。
Googleの自動運転車プログラムでディレクタを務めるChris Urmson氏は、自身の最新のブログの中で、以下のように述べている。
われわれの自動運転車は、高速道路ではなく一般道を走行する場合が多いため、事故に遭う確率も高いということになるのではないだろうか。一般道上では、通常は報告されることのないような軽度の事故が多く発生している。当社が2009年にプロジェクトを開始して以来、他のドライバーが運転する車に衝突された回数は、14回に上る(うち11回は追突事故)。しかしこの中で、当社の自動運転車が原因となって生じた事故は一度もない。ここではむしろ、ヒューマンエラーと不注意こそが明確な課題だといえる。このことからも、当社の自動運転車が、人が運転する自動車に勝るとも劣らないレベルを実現し始めていることが示されているのではないだろうか。
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