本稿では、EUVリソグラフィ開発の進ちょくをお伝えする。ASMLの開発用露光装置「NXE:3300B」は、1日当たりのウエハー処理枚数が1000枚を超え、以前に比べるとかなり進化した。また、7nm世代のロジック配線を解像できるようになっている。
前回から、半導体露光装置の最大手ベンダーASMLによる、EUVリソグラフィ開発の最新状況に関する講演の概要をご報告している。講演者はASMLのMike Lercel氏、講演タイトルは「Industrialization of EUV Lithography: Progress Update」である。
前回は将来の10nm世代と7nm世代のリソグラフィにおいて、ArF液浸リソグラフィとEUVリソグラフィを比較した。EUVリソグラフィはArF液浸に比べて良好なパターンを形成できる。しかも、原理的にはコストが低い。
EUVリソグラフィが完成しているのであれば、ArF液浸リソグラフィを置き換えることは間違いないだろう。しかし現実には、まだ置き換えの見通しは立っていない。EUVリソグラフィを構成するさまざまな要素技術がまだ、開発途上にある。
講演者のLercel氏は、2015年におけるEUVリソグラフィ開発の進ちょく状況を、2枚のスライドにまとめて見せた。1枚目のスライドの項目は3つ。「生産性(Productivity)」、「稼働率(Availability)」、「露光装置開発」である。なおASMLはEUV露光装置を既に複数の顧客(半導体メーカーや半導体研究開発組織など)に納品しており、以下の数値は顧客の研究開発ラインで装置を稼働させた結果であること(ASML内部のデータではないこと)に注意されたい。
生産性に関しては、1日で処理するシリコンウエハーの枚数が1000枚を突破した。24時間の連続稼働を仮定すると、1時間当たりの処理枚数は約42枚に相当する。ArF液浸に比べるとまだ低いものの、以前に比べるとかなり向上した。
稼働率に関しては、主力の開発用露光装置「NXE:3300B」の稼働率が全ての顧客で55%を超えた。一部の顧客では70%を超えた週がある。また1つの顧客サイトでは、4週間連続して稼働率の平均が70%に達した。まだ量産レベルには達していないものの、かなり上がってきた。
露光装置開発に関しては、最新の露光装置「NXE:3350B」を開発し、4台の発注を顧客から受けている。2015年の目標受注台数は6台である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.